8年越し、夢の美容師に

原発事故で自主避難の岡崎さん

©株式会社山形新聞社

自主避難から8年、ヘアスタイリストになる夢をかなえた岡崎真未さん=山形市

 東京電力福島第1原発事故に伴い、子育てのため福島市から山形市に自主避難してきた美容師岡崎真未(まなみ)さん(32)が、避難生活によって一時断念していたヘアスタイリストになる夢を8年越しで実現させた。勤務先の美容室「ヘアウィズウォーター」(山形市大手町、赤塚治美代表取締役)は東日本大震災以来、避難者向けサービスの提供を続けており、岡崎さんは「今度は私が山形の人に恩返しする番」と日々、技術を磨いている。

 岡崎さんは元々、千葉県の美容室でアシスタントとして働いていた。2011年にヘアスタイリスト(カットができる美容師)デビューを控えていたが、妊娠のため同3月7日、地元・福島市に夫と共に引っ越した。間もなく震災が発生。7月に長男を出産した後、原発の影響を心配し、1カ月健診を待って家族で山形市に自主避難した。

 初めての子育てに加え、初めての土地での避難生活。自分の車もなく、自宅にこもる日々が続き、就職どころではなかった。放射能への気掛かりは避難生活でも完全には消えず、「安全だと分かっていても、子どもが砂遊びをした後にちゃんと手洗いができるか心配だった」といい、保育園に預けて働く決心はつかなかった。

 長男が小学校に入学、避難生活中に誕生した次男が幼稚園に入園し、気持ちに余裕ができた18年9月、同店で働き始めた。震災発生当初から、避難者のシャンプーや子どものカット無料のボランティアを行い、現在も未成年者のカットや大人のシャンプー無料の支援を続けている同店は仲間の間で話題で、以前から「この店で働きたい」と考えていたという。赤塚代表は「子育てをしながら、また夢のために頑張ろうと思ってくれたことがうれしい」と応援する。

 岡崎さんはパート社員としてブランクを取り戻そうと励み、今年7月、ヘアスタイリストに。「よそ者扱いせずに受け入れてくれた山形の人たちを、カットできれいにしたい」を笑顔を見せる。

 同店では8月30日まで、岡崎さんを指名した子連れ客を対象に小学生以下の子どものカットを無料とするキャンペーンを実施している。