【インタビュー】頭も体も使うビール造りに夢中!人気ブルワリーの女子ブルワー・ケルシーさん

ビール女子のみなさま、こんばんは!ポートランド在住の東リカです。

地球上で一番ブルワリーが多いというポートランド。ここで活躍しているブルワーというと、メガネ、ひげ、キャップの男子を思い浮かべるかもしれません。けれども、実は女子だって、美味しいビールを作っているのです!

ポートランドの女子ブルワーをリレー形式で紹介する本企画。今回は、前回の「モダンタイムス」のアンジーさんが紹介してくれた人気ブルワリー「ウェイファインダー(Wayfinder)」の女子ブルワー、ケルシー(Kelsey Cable)さんにお話を伺いました。

連載一覧

1. 学術的アプローチで楽しいビールを作るポートランドの女子ブルワー

2. 自宅には自前のタップルーム!ポートランドを代表する女子ブルワー

3. 多様性を体現する生き方!「ガール・ギャング」を結成するポートランドの女子ブルワー

4. ビールをつくるため夫婦でポートランドへ!ビールづくりの錬金術師女子ブルワー

5. 自宅の裏庭でブルワリーを経営!家族で盛り上げるママブルワー

6. ビール好きこそハマる、日本大好き女子が造るサイダー

7. 自分の手で造る喜び!クラフトサイダーとワインを造る女子ブルワー

8.ワイン・サイダーメーカーから転身!モダンタイムス女子ブルワー

クラフトビール好きのお父さんの好影響

ケルシー ウェイファインダー 女子ブルワー

ケルシーさん、こんにちは!まずは、ビールに興味を持ったきっかけから教えてください。

ケルシーさん

私の実家はコロラドなんだけど、父がクラフトビール好きでね。父の友人がホームブリューイングをしていて、我が家に集まっては、ああだこうだと言いながら飲んでいるのを見て育ったから、自然に自分もクラフトビールに興味を持つようになったの。

クラフトビールに囲まれて育ったなんて羨ましい!それでビール好きが高じて仕事にしようと思ったんですか?

ケルシーさん

まあ、そうかも。ちょっと生活のリズムを変えようと思って25歳の時にひとりでポートランドへ引っ越してきて、クラフトビールがすごく身近になったから。

ヘルスフードストアでビールのバイイングの仕事をしつつ、ホームブリューイングをしたりビールフェスティバルにボランティアで参加してビールの世界に入っていったの。

ビール造りを学びに、学校へ通ったりはしなかったんですか?

ケルシーさん

ポートランド大学でクラフトビールビジネスのコースを受講したんだけど、ビール造りよりもブルワリーを開店するとか、思った以上にビジネス寄りすぎて…。

まずは、実際に自分がビール業界で働いてみて、ビール造りの仕事が好きかどうか見極めたいと思ってインターン先を探すことにしたの。それがここ「ウェイファインダー」だったの。

Wayfinder 女子ブルワー クラフトビール

初のブルワリーの仕事が今、大人気の「ウェイファインダー」っていうのもすごいですよね。「オレゴン・ビール・アワード」の「ベスト・ブリューパブ体験(Best Brewpub Experience)」受賞をはじめ、メディアにもたくさん取り上げられていますよね。

ケルシーさん

いろんなビールイベントのボランティアを通してコミュニティの人たちとの人脈ができたおかげかな。
今、働いて3年目なんだけど、開店時のスタッフ募集で採用してもらったの。最初の1年は、バースタッフとして働いて、醸造に関わるようになったのは2年前から。

女子ブルワー ケルシー ウェイファインダー

実際に働いてみて、ビールの仕事は好きだと思えましたか?

ケルシーさん

うん、最高!大好き。クリエイティブさと理系の知識が必要なところとか。毎日、頭脳と全身、全てを使うところも気に入っているの。

確かに!ビール造りって、頭脳労働であり、肉体労働でもありますもんね。
ちなみにクラフトビール造りを仕事にしていることについて、お父さんたちの反応は?

ケルシーさん

家族みんな、すっごく喜んでいるわ!

勇気をくれた先輩女子ブルワー

ウェイファインダー ブルワーの仕事 ビール女子

この業界で女子であることで何か違いを感じますか?

ケルシーさん

それなりにチャレンジはあるけど、ウェイファインダーは3人の小さなチームってこともあって、上手くコミュニケーションが取れていると思う。

ポートランドの女子ブルワーのナタリーマディには会ったと思うけど、彼女たちとはすごく仲がいい。

ナタリーは私がビールのイベントに通っていた頃から、女子ブルワーとしてすごく目立っていたの。自分と同じように若い女性である彼女の姿にすごく勇気付けられた。女子もすごいビールを造ってあんなに活躍できるんだって。

ビール女子 ポートランド 女子ブルワー

自らが表に出ることで、女子ブルワーを引き上げることは、ナタリーさん自身がするべきだ、と思っていることですよね。彼女を見てこの世界に入って活躍する女子がいるってことは、通じているんですね!

ケルシーさん

今年の「オレゴン・ビール・アワード」に、ウェイファインダーのブルワー、ベン(Ben Howe )とペアで造ったセゾン(ファームハウスエール)『Rumination』を出すことになったんだけど、それがなんと「ベルギービール」部門ブロンズを受賞したの。そして、同部門のゴールドは、ナタリーの造った『Dekum Basic Witch』で彼女と同じステージに立てたの。ものすごく嬉しかった!

すごいですね!おめでとうございます!

怖がらずにビールの世界へ飛び込んでみて

ウェイファインダー 缶ビール ラガー

ケルシーさんが一番好きなビールはどんなビールですか?

ケルシーさん

飲むのも造るのもラガーかな。アルコール度数が低くてキレの良いきれいなビールで、何も隠せない。ウェイファインダーなら、ホップが香るキレの良いピルスナー『Czech Pils』かな。

今年は特にラガーが流行っていますよね。ウェイファインダーもラガー中心のブルワリーだから、ぴったりですね。

これから造りたいビールや将来の夢はありますか?

ケルシーさん

まだ、そんなに先のことは分からないけれど、ラガーに自信がついたらサワービールとかも造ってみたい。新しいことを学びたいの。チーズやワイン、発酵にもすごく興味があるわ。

ブルワーにとって必要なことは何だと思いますか?

ケルシーさん

集中力。それからマルチタスキング。あとは、批評を冷静に謙虚に受け止めて、常に改善していこうっていう姿勢。

批判をされることって結構多いんですか?

ケルシーさん

まあね。フェスティバルとかアワードとかですごい盛り上がっちゃうと、がっかりするような意見をなかなか素直に聞けなかったりする(苦笑)。
ちょっと前までバーでも働いていたから、お客さんと直接話すこともよくあるの。刺激になるわ。

ビール女子 ケルシー

最後に日本のビール女子へのメッセージをお願いします。

ケルシーさん

もし怖いって思っても、ビールの世界を泳ぎ続けて(Keep Swimming!)。多分、ビール好きの人は、あなたの認識よりも意外にもっとインクルーシブ(協調的)で、思い切って飛び込めば、仲間に入れてくれるんじゃないかな。

ありがとうございました!

ビールコミュニティに飛び込んで人脈を広げて理想の仕事を手にしたり、ビール造りの肉体労働的な部分を「全身運動ができる」長所として捉えるケルシーさんは、とても頼もしいと思いました。

ケルシーさんがナタリーさんに影響を受けたように、タフでかっこいい彼女の姿を見て、今後も女子ブルワーがどんどん増えていく気がします。

■ウェイファインダー:https://www.wayfinder.beer/

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1. 学術的アプローチで楽しいビールを作るポートランドの女子ブルワー

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3. 多様性を体現する生き方!「ガール・ギャング」を結成するポートランドの女子ブルワー

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6. ビール好きこそハマる、日本大好き女子が造るサイダー

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8.ワイン・サイダーメーカーから転身!モダンタイムス女子ブルワー

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