桑田真澄氏、高校野球の“改革”訴える「ルール作りができないのは大人の都合」

MLBドリームカップで登板した桑田真澄氏【写真:編集部】

大船渡・佐々木の登板回避を支持「非常に素晴らしい決断だったと思います」

 プロ野球の巨人やメジャーリーグのパイレーツで活躍した桑田真澄氏が、高校球児を守るための「新しいルール作り」を熱望した。桑田氏は12日、天王洲公園野球場で行われた、軟式野球「第5回MLBドリームカップ全国決勝トーナメント」の出場権が懸かる関東地区・東京Bブロック予選の2回戦に登場。選手兼監督として率いる「桑田パイレーツ」の先発として1回無失点の好投を見せ、その後は遊撃の守備についてチームを4-3の勝利に導いた。その試合後、高校野球の話になると、その口調は熱を帯びた。

 桑田氏はまず、岩手大会決勝で大船渡が163キロ右腕・佐々木朗希を登板させることなく敗れたことについて「僕は非常に素晴らしい決断だったと思います」と断言。賛否両論を呼んだ問題について「やっぱり監督と選手が決めてやっているわけですから、外野が口出しちゃいけないですよね。それに(選手が)壊れたらなにもならないわけですから」と続けた。

 球児が怪我をしないような「ルール作り」を進めるべきだというのが桑田氏の持論。それこそが大人の責任で、さらには選手だけでなく監督も守ることになると訴える。

「壊れないためのルール作りを我々大人が作ってあげないと駄目ですね。そういうルールがあれば監督も叩かれることはないですし、選手も言われることがないわけですからね。僕は球数制限は非常に大事だと思ってますので。球数制限は選手を守るだけでなく、指導者も守るんですよ。『ルールでこれ以上投げさせることはできません』。(それなら)誰も何も文句言わないじゃないですか」

「なぜ日本の野球は子供たちを守らないのかが僕はよく分からないですね」

 例に出したのは、選手を守るという理由で徹底的な球数制限を設けるアメリカの野球。桑田氏は「投げないから強くならないとか、そういうことじゃないんです。アメリカというのは、メジャーリーグから子供たちまで球数制限でピッチャーを守っているんですね。それしかないという結論を出してるんですよ。なぜ日本の野球は子供たちを守らないのかが僕はよく分からないですね」と言葉を重ねた。

 また、投手の酷使を避けるために地方大会や甲子園の日程を考え直すべきだという声も多い。 カブスのダルビッシュ有投手もツイッターで日本球界の改革へ向けて多くの投稿を行い、フォロワーから意見を募るなど積極的な動きを見せているが、球数制限の導入も含めて全ては不可能ではないというのが桑田氏の考えだ。

「なぜ、球数制限導入もそうですし、(新たな)ルール作りができないかっていうのは、一つだけなんですよ。大人の都合なんですよ。大人はやっぱり子供たちを守る、成長させるためにやっているわけですから、甲子園の美談とかそういう理由で子供たちを壊しちゃいけないですよね。やり方はいくらだってあるんです」

 投手の酷使などで球児の未来を潰すようなことがあってはならない。桑田氏は「本当に一日も早く新しいルールを作って、子供たちを大切に育ててあげるのが非常に大事なんじゃないかなと思いますね」と訴える。日本の野球が変わることを強く望んでいる。(Full-Count編集部)

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