熊本地震被災の仮設住宅入居者ら 生活再建へ施策充実を 熊本学園大・高林秀明教授に聞く

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たかばやし・ひであき 1969年、静岡県生まれ。同志社大大学院文学研究科修士課程修了。兵庫県社協主事、県立広島女子大助教授を経て現職。熊本地震では避難所運営や、みなし仮設住宅入居者の支援に奔走した。熊本市在住。

 熊本地震の仮住まいの被災者が7月末時点で1万人を切った。仮設住宅の入居者らの調査に当たってきた熊本学園大の高林秀明教授(地域福祉論)に、被災者が抱える課題や求められる支援の在り方などを聞いた。(内田裕之)

 -生活再建が進んだ結果でしょうか。

 「環境が整って出ることができた人の一方、退去期限に合わせて仕方なく出た人も少なくない。原則2年の入居期間の延長要件が2回目の延長時にかなり絞られ、希望する民間賃貸が見つからないケースなどは認められなくなった。被災者のペースで退去できているかは疑問だ」

 -課題を抱えたまま退去した人は多いということですか。

 「借り上げ型のみなし仮設住宅の入居者支援に取り組む一般社団法人『minori』の2月時点の相談記録で1558世帯の状況を調べたところ、地震後に生活と健康状態のいずれかが悪化した世帯の割合はみなし仮設住宅入居者が40・2%、退去した人でも24・5%に上った。2月以降に退去が進んでおり、厳しい状況の退去者は増えているのではないか」

 -仮設住宅に残っている人たちの状況はどうでしょう。

 「自宅再建のめどが立っていても、再建のため借金が必要だったり、商店主が不便な場所で再開するしかなくなったり、いろいろな悩みを抱える。災害公営住宅に入る見込みの人では持ち家の時はなかった家賃の支払いを心配している人もいる。不安を取り除く支援や対策が必要だ」

 -今後、行政に求められる対応は。

 「住宅さえ確保できればいいという姿勢ではダメ。県と市町村が協力し、被災者の医療費免除を復活させてはどうか。低所得層に対する家賃補助も考えられる。災害は個人の責任で起きるわけではない。生活再建をやりやすくするための施策を充実させるべきだ」

 「阪神大震災や東日本大震災では仮設退去後に孤独死が増えた。コミュニティー形成の支援は欠かせない。形だけの支援にならないよう、行政には地域の民生委員やボランティアらと課題を抱える退去者を取り持つ『踏み込んだつなぎ』を行う役割が求められる」

(2019年8月14日付 熊本日日新聞朝刊掲載)