エース柴田 無四球完投 緩急自在 凡打の山

【2回戦、海星―聖光学院】2失点完投した海星の柴田=甲子園

 「ロースコアはいや」「一回り(3回くらい)もてば」-。そんな指揮官の考えを、いい意味で裏切った。海星のエース柴田が、わずか93球、無四球で完投。「工夫して打たせて取ればいい」。最速133キロながら、握り方を調整して微妙に動かす直球に変化球も織り交ぜ、甲子園常連校から凡打の山を築いた。
 今季のチームは継投が当たり前だったが、長崎大会決勝に続いて一人で投げ抜いた。高校入学後の完投はこの2試合だけ。集大成の夏に大車輪の活躍を見せる右腕に、加藤監督も「自分の持っているものをぶつけるメンタルの強さを感じた。代えるタイミングがなかった」と賛辞を贈った。
 奪った三振はスリーバント失敗を除いて1個。その一つも直球、カーブ、直球を外に集めて3球で仕留めるなど「丁寧に突けば大丈夫と思った」。ソロ2発で失点したが、それ以外で二塁を踏ませたのは1度。守りで大切なテンポがとにかく良かった。相手エースとともに史上21回目の無四死球試合を演じた。
 バックも三回に二塁打と思われた相手の一塁空過を見逃さず、アピールプレーで「左ゴロ」に。四回は捕手太田が完璧な送球で二盗を阻み、五回2死一、三塁のピンチは三塁線の打球を坂本が好捕して切り抜けた。「信頼」の完投劇だった。
 3回戦は今大会2試合で29安打19得点の八戸学院光星(青森)が相手。厳しい戦いも予想されるが、ヒーローは「やり方は変わらない。目の前の勝負に集中して守り勝つ」と自信を深めた様子だった。

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