戦争の記憶と平和への願い込めた作品並ぶ 県美分館で平和美術展

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原爆で家族5人を失った石原照枝さんの体験を描いた紙芝居などが並ぶ「第33回熊本平和美術展」の会場=熊本市中央区

 第33回熊本平和美術展が14日、熊本市中央区千葉城町の県立美術館分館で始まった。戦争の記憶と平和への願いを込めた絵画や書、工芸作品など82点が並ぶ。18日まで。

 実行委主催。趣旨に賛同した30~80歳代のプロやアマチュア40人が出品した。特別展示の紙芝居は、9歳の時に長崎で被爆し家族5人を失った石原照枝さん(同市)の体験を元に「熊本被爆2世・3世の会」が制作した。黒焦げになり亡くなった母への思いや、「体験を風化させないよう語り続ける」という決意がつづられている。

 県原爆被害者団体協議会の長曽我部久会長(同市)は、赤やオレンジの光に浮かび上がる広島の原爆ドームを木版画で表現。山田順子さん(同市)は折り鶴をモチーフにパッチワークのタペストリーを制作した。宮村宏さん(人吉市)はイルカが群泳する海と「きのこ雲」を、青を基調にした油彩で描いた。

 初日は長崎で被爆した橋田昌子さん(89)=熊本市=も来場。橋田さんは爆心地から1・4キロ地点の軍需工場で被爆。地獄さながらの極限状態を生き延び、罪の意識を感じたこともあったという。「平和だからこそ自由な表現ができる。この時代を当たり前と思わないでほしい」と語った。(魚住有佳)