太陽の様な恒星の最期。泡形か双極形か爆発形…多数ある惑星状星雲の姿

宇宙に浮かぶフワフワしたクラゲの様な物体は、オリオン座の方向に位置する惑星状星雲「NGC 2022」です。

惑星状星雲とは、太陽と同じ様な質量を持つ恒星の最期の姿を表しています。惑星ではないのに、名前に惑星が入る理由は、昔の天文学者が使用していた小口径の望遠鏡では天体の詳細を観測する事ができず、惑星の様に見えた事がその名前の由来。

太陽と同じ様な質量を持つ恒星は、大質量星の最期の様な超新星にはなりません。赤色巨星を経て自身の外層を吹き飛ばし、ガスを放出します。中心の星は重力によって縮小し強力な紫外線を放つ事で、周囲に広がったガスが照らされ惑星状星雲の姿が宇宙に映し出されるのです。

また、惑星状星雲の形成は「NGC 2022」の様な泡形だけでなく、ローブが双極に放たれた「ブーメラン星雲」「ツインジェット星雲」や、ローブが反り返った「NGC 6537」、再運動でS字になった「Henize 3-1475」、はたまた爆発の一瞬を捉えた様な「NGC 2440」など、バリエーションに富んでいます。

既に寿命の半分を過ぎている太陽ですが、残りの約50億年といった時を経て、惑星状星雲に進化する運命が待っています。50億年後となると、人類がどうなっているのかも分かりませんし、地球もありません。もしかしたら我々が他の惑星状星雲を観測する様に、太陽の最期の姿は他の生命体によって多数ある中の1つの星雲として捉えられているかもしれません。

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ「ACS」の可視光波長によって捉えられ、2019年8月12日に公開されたものです。

Image Credit:ESA/Hubble & NASA, R. Wade

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