「一緒にプレー幸せ」 カズと俊輔が夢の共演 横浜ダービー

【横浜M-横浜FC】前半、フリーキックの前にボールの位置を確認する三浦知良と中村俊輔=ニッパツ

 サッカーの天皇杯全日本選手権第5日は14日、3回戦16試合が行われ、横浜Mは横浜FCとのダービー戦を2-1で制した。

◆2000年の代表戦以来の共演

 華麗なる道を歩んできた2大スターのサッカー人生が、横浜FCで19年ぶりに交わった。

 後半17分。横浜Mのサポーター、敵将のポステコグルー監督も拍手を注ぐ中、途中交代を告げられた三浦は、中村に「頼んだぞ。まだチャンスはある」とキャプテンマークを託した。

 三ツ沢を舞台に「初共演」を果たした横浜ダービーは、5日前にチケットが完売。1-2で敗れたものの、1万2489人の観衆は計「93歳」のレジェンドたちが放つ輝きに酔いしれた。

 自身の天皇杯最年長出場記録を52歳5カ月に塗り替えた三浦が、前半5分に見せ場をつくる。左クロスのこぼれ球にゴール前で素早く反応。「スペースも角度もないけど狙った」という左インステップのシュートは、わずかに枠を越えた。

 同36分には相手選手へのプレスがファウルと判定されたが「味方が(前に)行き切れていないから」。大先輩の熱はボールを通じ、古巣を相手にした11歳下の中村にも伝わった。左足から繰り出したCKやFKで好機を演出。「途中交代させるつもりだった」という下平監督の予想を上回る出来でフル出場を遂げた。

 2000年の代表戦以来となる共演。互いについてカズは「いいパスが通る。一緒にプレーできて幸せ」と話し、「すごさを知っているから緊張した」という俊輔は「試合前からチームを鼓舞していた。自分もそうありたい」。2人の織りなす物語は、歳月を重ねることで魅力が深まる。

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