若手教員のレベル向上へ県教委が研修見直し 3年継続でより手厚く

「継続型」に変わった初任研を受ける教員ら=2日、富山市内

 県教育委員会は、採用1年目の教員を対象にした初任者研修(初任研)の見直しを進めている。1年間の「集中型」だったカリキュラムを、2018年度から3年間で行う「継続型」に変更。指導教員も国の基準より手厚く配置し、増え続ける若手のレベル向上に努める。実施の分散によって現場の負担を軽減し、働き方改革を浸透させる意味もある。(政治部・柵高浩)

 第2次ベビーブームに合わせて大量採用された世代の退職を背景に、県教委は2014年度から毎年300人を超える採用を続けてきた。13年度に44.8歳だった教員の平均年齢は、18年度には43.3歳に下がった。

 県教委は18年度から研修を3年間の「継続型」とし、現場を経験した上で研修を受けさせ、より実践的な指導力や問題解決力を養うことを目指す。1年間でやってきたことを3年間に延ばし、若手や周囲の負担を減らすようにもした。

 体制の充実にも取り組む。県教委は初任者4人につき1人の割合で指導教員を配置し、現在は正規と非常勤合わせて小中学校に約110人いる。国は18年度から「6人につき1人」に減らしたが、上回る分の人件費は県費で賄っている。

 国には学校全体で若手を指導する形にしたいとの思いがあるが、県教委は「育成には経験豊富な指導教員の存在が欠かせない。若手が指導を受けられる時間も減ってしまう」(小中学校課)と指摘。基準を戻すよう国に要望している。

 教員の大量退職が当面続く一方、採用試験の志願者が減り、倍率低下によって優秀な人材を確保しにくい状況になっている。県教委には、手厚い研修制度をアピールすることで志願者を増やしたい狙いもある。

 研修を担当する県総合教育センターの米田一毅主任研究主事は「『継続型』は若手の力につながる」と強調。「研修は同期採用同士で情報交換できる貴重な場であり、より効果的な内容になるよう今後も考えていきたい」と話す。

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