エンジン停止、トウモロコシ畑に胴体着陸も火災・死者なし ロシア、乗客ら拍手「機長は英雄」

By 太田清

モスクワ

 モスクワ近郊のジュコフスキー空港発クリミア・シンフェロポリ行きロシア・ウラル航空エアバスA321(双発機)が15日、離陸後まもなく、エンジン1基が停止、もう1基も損傷し大半の推力を失ったが、空港から約1キロ離れたトウモロコシ畑に胴体着陸した。タス通信などロシアの主要メディアが伝えた。 

 同機には乗客226人(227人との報道もある)、乗員7人が乗っており、子ども17人を含む55人がけがをして病院に搬送されるなどしたが、死者はいなかった。離陸直後で大量の燃料を積んでいたが火災もなかった。同社本社のあるスベルドロフスク州のクイワシェフ知事は「ユスポフ機長らは素晴らしい技能を見せ乗客乗員の命を救った。英雄だ」と賞賛。軍のパイロットだった経歴を持つアントシキン下院議員も機長らを表彰すべきと指摘。 ぺスコフ大統領報道官は「疑いなく乗務員は表彰される」と語った。

 一方、乗客の一人は着陸後、乗客らが拍手喝采し、一部が喜びのあまり客室乗務員にキスをしたとSNSに書き込んだ。別の乗客は「パイロットに感謝したい。本当にいい仕事をした」と記した。 

 2基のエンジンは出火し、機長はエンジンを完全に切って緊急着陸した。着陸の衝撃で1基のエンジンが機体から落下したとの報道もある。 

 緊急着陸したウラル航空機と脱出した乗客の動画(ニュースサイト「マッシュ」のツイッターから)

https://twitter.com/mash_breaking/status/1161866865842499584

 航空当局によると、同機は離陸後、鳥の群れに突っ込んだことから、エンジンが鳥を吸い込み損傷につながった可能性がある。緊急着陸後、乗客らはユスポフ機長の指示で緊急脱出用スライドを使い航空機から脱出。出火の恐れがあったことから航空機から離れ、約2時間とどまった後にバスなどでジュコフスキー空港に運ばれ救助された。 (共同通信=太田清)

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