小児がん経験の男児が絵本 「ぼくはレモネードやさん」

 小児がんを経験した横浜市立平沼小6年の栄島四郎さん(12)=同市西区=が手掛けた絵本「ぼくはレモネードやさん」が、30日に発行される。「小児がんのことをたくさんの人に知ってほしい」との思いを込め、自身の闘病や同じ病気の子どもたちのこと、小児がんを啓発する「レモネードスタンド」活動のことを絵と文章でつづった。

 四郎さんは3歳で脳腫瘍を発症。手術や放射線治療なども経験し、現在も通院を続ける。一方、小児がんを患った米国の少女がレモネードを売って病気の子どもたちのために募金を集める物語を知り、2016年からイベントなどでレモネードスタンドの出店を重ねている。

 絵本では髪が抜けた悲しみや注射の痛みなど治療中につらかったこと、同じ病気の友人と遊んだことや家族の見舞いなど、楽しかった思い出が記されている。

 「治療が終わっても病気と付き合わなければいけない」ことにも焦点を当てた。今も自宅で注射を打ち、ずっと病院に通う必要があること、四郎さんや友人が疲れやすかったり、手が震えたりといった後遺症があることにも触れている。

 絵本は、昨年秋に四郎さんが自己紹介用に制作した紙芝居をベースに大幅に加筆した。「友達やその家族に聞いた話を、自分の言葉に直すことが大変だった」と振り返る。母親の佳子さんの出身地・岡山県井原市のイベントで先行販売したところ、「分かりやすい」などと好評だったという。

 「300歳まで生きることが目標。レモネードスタンドを一緒にやりたい人は声を掛けて」と絵本を締めくくった四郎さん。「小児がんと関わりのない人にもたくさん読んでほしい」と呼び掛けている。

 1620円。売り上げの一部は小児がんに関係する団体に寄付するほか、患者と家族の支援に使われる。問い合わせは、生活の医療社電話03(6820)8371。

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