「アルボンのレッドブル・ホンダF1昇格は時期尚早」との懸念の声

 レッドブル・レーシングは2019年第13戦ベルギーGPから、ピエール・ガスリーの代わりにアレクサンダー・アルボンを起用することを決めたが、F1で半年しか経験のないルーキーをビッグチームで走らせることに対して懸念の声も上がっている。

 現在23歳のアルボンは、2012年にレッドブル・ジュニアチームの一員だったが後に契約を終了、しかし2016年にGP3でランキング2位、2018年にはFIA F2でランキング3位を獲得し、トロロッソの2019年レースドライバーに選ばれた。

 アルボンは、多くのルーキーとは異なり、F1マシンに乗る機会が十分ないままにデビューを迎えたものの、シーズン前半から優れたパフォーマンスを見せ、第2戦バーレーンで初入賞、ドイツGPではここまででベストの6位を獲得し、高い評価を得ている。

 しかしわずか12戦の経験でF1のトップ3に入るチームに加入するのは早すぎるとの懸念を示す者もいる。

 Sky Sports F1のレポーター、テッド・クラビッツは、「この動きは早すぎる」と断言した。

「アルボンは、自分がF1デビューイヤーに行うことは、トロロッソのチームメンバー全員を覚えて、それぞれ何の作業を担当しているのかを把握し、自分の状況から最大の結果を引き出すことだと話していた」

「シーズン後半の9戦のうち、スパ、モンツァ、ソチ、アブダビの4つは知らないサーキットではない。確かに初めての中国で彼は入賞した。FP3でクラッシュして予選に出場できなかったにもかかわらずだ。しかし、トロロッソでは(ビッグチームよりは)プレッシャーが大きくないし、(3戦目だったため)チームに多少なじんでいた」

「シーズン後半に初めてのサーキットがいくつかある。そういうサーキットで、よく知らないエンジニア、メカニック、マシンとともに戦わなければならない。そしてすべてのサーキットを経験済みのガスリーよりも、いい結果を出すことを求められるのだ」

■「アルボンには難局を乗り切る力がある」との意見も

 元F1ドライバーで、現在Sky Sports F1でコメンテーターを務めるカルン・チャンドックは、アルボンにとって楽な状況ではないとしながらも、彼にはそれを乗り切る力があるかもしれないと考えている。

「レッドブルのようなトップチームにいきなり入れられて、才能ある(マックス・)フェルスタッペンのチームメイトを務めなければならない。これはかなり難しい注文だ」とチャンドック。

「アルボンはレッドブルのマシンで走ったことすらない。なじむまでに2、3戦かかると考えた方がいいだろう」

「だが、彼はルーキーとしては非常に印象深い仕事をしてきたし、難しい状況から立ち直る能力も見せた。中国ではプラクティスで(クラッシュをして)困難な状況に陥りながら、レースでしっかり順位を上げた。ドイツでは(16番グリッドから6位獲得という)見事なレースをした」

 元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは、こうコメントしている。
「アレックスの幸運を祈りたい。彼は見事なF1デビューを飾った。だが、マックスの“ホーム”で生き残るには、F1ドライバーとしてのすべての能力と技を駆使する必要がある。スターメイカー/死神が、データを詳細にわたってチェックするだろう」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とアレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)

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