その差36%!投票率26%の埼玉県知事選挙で市区町村ごとの投票率を調査したら驚きの結果に

埼玉県知事選挙(以下、埼玉県知事選)が8月8日に告示されました。(8月25日投票)今回の埼玉県知事選では現職の上田清司氏が立候補していないため、16年ぶりの新人同士の争いとなっています。 そんな埼玉県知事選ですが、2015年の埼玉県知事選では投票率が26.63%、2011年の埼玉県知事選の投票率は24.89%と非常に低い投票率が続いています。7月に行われた第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)の県内の投票率は46.48%だったので非常に大きな差があります。では地方選挙の埼玉県知事選と国政選挙の参院選の投票率を自治体ごとに比較するとどのような実態が見えてくるのでしょう。また過去の埼玉県知事選同士を比較してみるとどのような変化がわかるのでしょうか。今回は埼玉県内の自治体ごとの投票率の動向をまとめました。

自治体別の投票率ランキング・ワースト&ベスト

表1-1 自治体別の投票率ワーストランキング(2015年埼玉県知事選)

表1-1は2015年の埼玉県知事選挙でワースト5の投票率を示したものになります。全ての自治体が埼玉県の東側に位置しており、かつ松伏町以外の自治体が東京都と隣接しています。
東京に近い自治体の住民ほど埼玉県知事選への関心の薄さが際立つようです。ベッドタウンとしての性格上、普段の生活のほとんどが東京に関係していることの影響が考えられます。
また全体の平均値から見ても表1-1の5自治体では県全体の投票率から2%から6%ほどの開きがあり、これらの自治体での投票への関心の低さが伺えます。

表1-2 自治体別の投票率ランキング(2015年埼玉県知事選)

ちなみに投票率が高かった上位5自治体のランキングはこちら。表1-1の投票率ワーストランキングとは対照的に3位の杉戸町以外は県の西側に位置する町村がランキングを占めています。

ここで目を引くのが小川町の投票率57.60%という数字です。県全体の投票率から30%以上も高い結果はどうしてなのでしょうか?選挙ドットコムでは小川町選挙管理委員会のご担当者に話を聞きました。

選挙ドットコム編集部(以下、選挙ドットコム)
2015年の埼玉県知事選では小川町の投票率が57.60%と県内で最も高い結果を残していますが、高くなった原因はなんでしょうか?

小川町選挙管理委員会のご担当者(以下、小川町選管)
2015年の埼玉県知事選の投開票日と同日に小川町では町議会議員選挙の投票がありました。おそらくその影響ではないかなと思っています。

選挙ドットコム
小川町議選と埼玉県知事選が同日に行われていたんですね!

小川町選管
はい。町民の皆さんにとって町議は身近な存在かと思いますが、
有権者の皆さんが小川町議選の投票に来た際に、埼玉県知事選の投票もしていくという流れがあるのではないかとも思っています。ちなみに今回も埼玉県知事選と小川町議選は同日の8月25日が投開票です。

選挙ドットコム
前回に引き続き埼玉県知事選と小川町議選が同日だと今回も投票率が高くなりそうですね!
選挙中のお忙しいところお話をいただきありがとうございました。

埼玉県知事選ごとの自治体別投票率ランキング(2011年・2015年)

表2-1 2011年→2015年の埼玉県知事選で投票率の下降幅が大きい自治体

それでは前々回の埼玉県知事選(2011年)と前回の埼玉県知事選(2015年)を比較するとどのような差異があるのでしょうか。表1-1で示した通り投票率のワーストにも入ったところで下降率ランキングに入ったところは5番目に差が大きかった八潮市だけです。一方で2015年の埼玉県知事選挙の投票率ワーストランキングにランクインした自治体はそもそもの投票率が低く、そのまま推移したので、いずれの自治体もワースト10にはランクインしています。
八潮市以外は県の中央か県北に位置している自治体になります。地理的な位置がどこまで直接的な要因といえるかは不明瞭なところも多いですが、結果としては上記の通りです。
ただこの4年の選挙で最も投票率が増加した小川町は23.13%の上げ幅となっており、減少率は投票率が増加した小川町の増加率に比べると小さい差ですす。表にある通り一番高い皆野町でも約4%の減少になっているのでその減少幅は増加幅に比べると非常に小さいものになります。
一方で平均を引き上げた小川町のような自治体もありますが、もっとも下げ幅が大きかった皆野町と県全体の投票率の推移には6%近い差があり、大きなギャップがあることが伺えます。ただ皆野町の投票率は表2-1の中では2011年、2015年の選挙でそれぞれ最も高い値となっており、選挙への関心はある程度高いことが伺えます。

表2-2 2011年→2015年の埼玉県知事選で投票率の上昇幅が大きい自治体

表2-2は2011年よりも2015年の埼玉県知事選の投票率が高かった自治体のうち、投票率の上昇幅が大きかった上位5自治体です。表1-2と似たような傾向としてこちらも杉戸町以外の自治体は県の西側に位置しています。

参院選と埼玉県知事選の投票率の差ランキング

表3 2019年参議院選挙と2015年県知事選挙の投票率の差が大きい5自治体

表3は今年7月に行われた参院選と2015年の埼玉県知事選の投票率の差が大きい5自治体をランキングにしたものです。2015年の埼玉県知事選の投票率が26.63%だったのに対して参院選は約1.7倍の46.48%という結果です。
両者を比べると県全体の投票率の上昇幅は19.85%です。表2-1、表2-2での県知事選の比較よりも国政選挙との比較のほうが大きな差が見られます。国政選挙では投票率が上昇する傾向が埼玉県でもみられる、ということが言えます。

一方で両方の選挙の投票率のが大きい自治体を比べると、表3の5つ自治体全てで県全体での上昇幅の19.85%を約3~4%程度上回っています。越生町は参院選では県内トップの投票率だったにもかかわらず、埼玉県知事選では投票率が低かったため埼玉県知事選と参院選の投票率の差を表した上の比較では全体で2番目の大きさの上昇幅となりました。
共通点としていえるのは、参院選では表3にランクインした自治体の参院選の投票率は県全体の投票率を超えており、上位3自治体では5%以上と高くなっていることです。また上位3自治体では埼玉県知事選でも県全体の投票率を超えており選挙への関心の高さが伺えます。ただ国政選挙と地方選挙の投票率の差の大きさという点から見ると、表3ではその上昇率の大きさからランクインしたとも捉えられます。
4番目と5番目の和光市、朝霞市は両者ともに埼玉県知事選挙では県全体の平均を下回っています。一方で埼玉県知事選では和光市、朝霞市の投票率は県全体よりも低く、埼玉県知事選での投票率の極端な低さ故にランクインしたことが2015年の埼玉県知事選と2019年の参院選を比較すると見えてきます。

国政選挙である参院選ではある程度の投票率の高さとなる傾向が埼玉県でも伺えますが、地方選挙である埼玉県知事選では極端に低くなる傾向があるようです。従って投票率をいかに上昇させられるかは埼玉県知事選だけでなく地方選挙全体の課題とみることができるでしょう。

>>埼玉県の他の自治体の投票率(2015年、2011年の県知事選)の一覧表はこちら

© 選挙ドットコム株式会社