【甲子園】東海大相模、8強逃す 泥まみれで「縁の下」、悔しさ糧に

ベスト8入りを逃し、涙する東海大相模ナイン=甲子園

 第101回全国高校野球選手権大会第10日は16日、兵庫県西宮市の甲子園球場で3回戦4試合を行い、神奈川代表の東海大相模は中京学院大中京(岐阜)に4-9で敗れ、全国制覇を遂げた2015年以来のベスト8進出はならなかった。

◆泥まみれで「縁の下」、悔しさ糧に 東海大相模・菖蒲谷選手

 16日に甲子園球場で行われた高校野球の全国選手権大会で、東海大相模高が3回戦で敗れ、全国制覇の夢がついえた。甲子園でベンチ入りを果たせず、サポートメンバーとしてチームに帯同した菖蒲谷嶺選手(17)は「終わった気がしなかった。まだできるんじゃないかなと思った」と青空を見上げた。

 一塁側スタンドの脇で、敗退が決まる最後の瞬間まで祈っていた。この日、ボールボーイを務めていた菖蒲谷選手の両目に、これまでの思いが込み上げた。

 強打のキャッチャーとして、昨春の選抜大会ではメンバー入りを果たしたが、試合には出場することはできなかった。背番号19で臨んだ今夏の神奈川大会では試合前にブルペンで先発投手のボールを受け、マウンドに送り出す大事な役割を担った。

「しっかり投げてもらいたいから」。身を粉にして投手陣を縁の下から支え、4年ぶりの夏の甲子園出場には心底喜んだ。

 ただ、直後の甲子園のメンバー発表で18人の枠から漏れた。正直、悔しい気持ちしかなかった。落ち込んだ顔のまま翌日の紅白戦に出ると、遠藤愛義コーチ(34)から「ガツガツやれよ」と諭された。

 「このままじゃダメだ。どんな形であっても日本一になりたい」。大阪ではブルペンで投手のボールを受けたり、一塁の守備に就いたりと、メンバーと同じようにユニホームを泥まみれにしてきた。

 卒業後は海外をフィールドに働く父の雄さん(46)のように英語を使った仕事に就こうと、留学を視野に入れる。甲子園で負けたら、これで野球漬けの日々は最後かもしれない-という思いで、全国優勝を掲げるナインと戦ってきた。

 最後まで全力を尽くした菖蒲谷選手は「日本一が達成できなくて悔しい。苦しいことばっかりだったけど、壁に向かっていこうとする気持ち、学んだことをこれからの人生で生かしていきたい」と、この経験を未来への糧とする。

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