「産女の幽霊」開帳 長崎・光源寺 「子を思う母 昔も同じ」

開帳された「産女の幽霊」の木像(右)や掛け軸の説明に聞き入る参拝者=長崎市、光源寺

 身ごもったまま亡くなった女性が墓の中で赤ん坊を出産し、育てたという民話「産女(うぐめ)の幽霊」が受け継がれている長崎市伊良林1丁目の光源寺で16日、幽霊の木像や日本画の掛け軸が開帳された。
 民話によると、女性は出産した赤ん坊を育てようと幽霊となり、毎晩あめ屋に通い母乳の代わりにあめを与えた。墓を掘り起こして子どもを助けたあめ屋へのお礼に、水が湧く場所を教えたという。
 像と掛け軸は毎年8月16日に開帳している。参拝者は像に手を合わせ、紙芝居を聞いたり、幽霊が買ったとされる米でできたあめをもらったりしていた。
 初めて訪れたという妊婦の長野唯さん(25)は「昔も今も子どもを大事にする気持ちは同じ。もうすぐ産まれてくる子どもを大切に育てたいと思った」。市立虹が丘小6年の岡部素直さん(12)は「赤ちゃんのためにあめを買いに行って育て、優しい幽霊だなと思った」と話した。

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