令和へ語り継ぐ ~戦後74年~【5】

豊浦町の子どもたち

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小中一貫で平和学ぶ

学習の成果は劇で発表

平和記念公園で合唱する豊浦中学校の3年生=今年4月、広島市

 人類史上初めて原爆が投下され、平和を発信し続ける広島市。爆心地となった原爆ドームを望む平和記念公園の一角に4月、豊浦中学校3年生の歌声が響いた。歌うは男性デュオ・ゆずが戦争体験者の思いを楽曲に込めた「Hey和」。歌詞にある「どこにいたって一人じゃないんだ」。「この歌詞の通りだ」。生徒たちは平和を「自分ごと」と受け止め、歌った。

 豊浦町は2015年(平成27年)12月に「非核・平和の町」を宣言。以来、中学3年生が修学旅行で広島を訪ねるなど、課題を立て集めた情報を整理・分析しまとめて表現する―平和学習に児童生徒が主体となって取り組んでいる。

 広島では在日韓国人の被爆体験者から直接、話を聞いた。4月にもかかわらず蒸し暑さが募る中、高齢化が進む証人の口から絞り出される言葉は生々しく想像を絶する状況に息をのんだ。

 「いまの日本は平和だと思いますか」。生徒たちがこう尋ねると「平和です」と体験者。毎日のように殺人事件が起き、世界では戦争をしている地域もある。平和=安全と考えていた生徒たちにとって意外なものだった。「いまは自由に発言し、行動できる。とても幸せ」と言葉をつなぐ体験者に平和には別の捉え方があることに気付いていく。

   

 「なぜ日本は戦争をしなければならなかったのですか?」「強い国になりたかったんだよ」「強い国って何?」「他の国を支配し土地や資源を増やすため」「戦いをして手に入れたものもあるけれど、失ったものもたくさんありました」―。

 7月24日、豊浦中の美術室。参観日で平和学習の成果を劇にまとめて発表する3年生の声が響いた。

 劇は平和学習がどうして必要なのか考えるところから始まる。日本の現状や憲法改正の議論などを踏まえ、その昔、戦争をした事実を振り返る。なぜ戦争をしなければいけなかったのか。広島に原爆が投下されるまでと、その後の惨状を「語り」のリレーで伝え、平和のために自分たちにできることを発表するストーリー。

 生徒たちは2年生の3学期から事前学習を始めた。広島訪問を踏まえ、戦争の是非や平和の在り方を自分たちなりに考え、小学生にも分かるよう、劇にまとめた。

 二度と戦争を起こさないためにできることって何だろう。答えの一つが「歌を歌うこと」。劇の最終盤、「Hey和」の歌声が響く中、生徒の一人が語り始める。「戦争を経験した人たちが減っていて、その悲惨さ、悲しみを伝える生の声がなくなっています」

 担当した平野陽香さん(14)は「戦争はつらい記憶。このつらさは何度もしていいことじゃない。日本で昔あった暗くてつらい部分に、日本に生きる一人として知っておかないといけないし、向き合わないといけない」

 劇は平野さんの問い掛けで締めくくる。「ぜひ皆さんも考えてみてください。あなたは、現在の日本は平和だと思いますか?」
(野村英史)

(おわり)
(2019年8月17日掲載)