父子の夢舞台、奮闘 海星左翼手・村上流星 両親、弟妹の支えに感謝

八戸学院光星戦の2回無死、海星の村上(左)が右前打を放ち、スタンドで喜ぶ父の寛さん、母のさやかさん=兵庫県西宮市、阪神甲子園球場

 熱戦が続く全国高校野球選手権大会。「甲子園でヒットを打つ」。長崎県代表の海星の左翼手村上流星は、OBでもある父、寛さんとの約束を胸に“聖地”に立った。初戦の2回戦でそれを果たすと、16日の3回戦も攻守に奮闘。試合は惜しくも敗れたが、スタンドで見守った39歳の父は「胸がいっぱい。自分が高校時代に憧れ、行けなかった場所に連れてきてくれた」と目を潤ませた。
 長崎半島南部の長崎市脇岬町出身。父の影響で野母崎小3年からソフトボールを始め、野母崎中では硬式野球の南長崎ボーイズで主将を務めた。卒業後は父と同じ海星に進学して、1年の夏からベンチ入り。迎えた高校最後の夏、甲子園切符をつかんだ。
 父は高校3年の夏、長崎大会3回戦で敗退。現在は地元で理髪業を営む。練習を終えた息子を車で迎えに行った後、自宅近くの倉庫でバドミントンのシャトルを使ったティー打撃に付き合うのが日課だ。ミート力をつけようと、息子が中学時代から続けている。思うような結果が出ない時期もあったが、父子の努力は結実。そんな日々を思い出しながら、父は聖光学院(福島)との初戦の前、息子に手紙を書いた。「楽しめ。そして、ヒットを打ってくれ」
 その試合は七回に右前打を放って二盗も成功。九回には得意のバント安打を決めた。八戸学院光星(青森)との3回戦も2安打と気を吐き、四球も一つ選んで自らの役割をしっかりとこなした。
 5人きょうだいの長男。弟3人は高校、中学、小学校でそれぞれ白球を追っている。父子の、そして家族の夢をかなえ、やりきった夏。息子は「両親や弟妹の支えがあって、ここまで来ることができた」と感謝し、父は「本当にたくましくなった。校歌も1度歌うことができ、夢のようでした」と“Kaisei”のユニホームで躍動した息子を見詰めた。

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