「空の上で飲めるタピオカ」をSNSのミクシィが発売した事情

第3次ブームを迎えているとされる「タピオカ」。都内の各所にショップが現れ、1日に1回はタピオカ入りドリンクを手に持つ若者の姿を目にするのが、日常茶飯事のようになっています。

そんなタピオカドリンクが唯一進出できていない場所がありました。それが飛行機の機内。しかし今月になって、ついに“空の上”にも進出を果たしたのです。

しかもその商品を販売しているのは、SNSサービスなどを運営する「ミクシィ」。いったいどんな狙いがあるのでしょうか。


羽田第1ターミナルで販売中

羽田空港・第1旅客ターミナルの南ウイング3階。ここに、ミクシィのエンタメ事業ブランド「XFLAG」が手掛けるスマホゲーム「モンスターストライク」のグッズなどを販売している、「XFLAG STORE + HANEDA」があります。

この店舗では、フタ付きボトル入りのタピオカドリンクを8月13日から売り出しています。味は「タピオカミルクティー」「タピオカほうじ茶ミルク」「タピオカ抹茶ミルク」の3種類。価格はいずれも650円(税別、以下同)です。

左から「タピオカほうじ茶ミルク」「タピオカ抹茶ミルク」「タピオカミルクティー」

細かいルールは航空会社ごとで異なりますが、基本的に国内線の機内は飲料などの液体物の持ち込みが可能。フタ付きボトルに入っているので、搭乗前の手荷物を抱えた状態でもこぼしてしまう心配はありません。

店舗でドリンクを買うと個包装されたストローも渡してくれるので、街ナカで買う一般的なタピオカドリンクと同じように味わえます。

なぜボトル入りドリンクを開発?

ボトル入りタピオカドリンクを販売している羽田の店舗は、今年1月に開業。既存の渋谷店、心斎橋店では提供していない新ドリンクを販売しようと検討を始め、幅広い世代に好まれる商品としてタピオカに注目しました。

モンストの世界観を表現すべく、開業当初から「ソロモンのタピオカミルクティー」「カシエルのタピオカストロベリーミルク」「フォルネウスのタピオカパープルレモネード」の3種類(いずれも500円)をカップ入りで販売したところ、好評を得てきたといいます。

左から「カシエルのタピオカストロベリーミルク」「ソロモンのタピオカミルクティー」「フォルネウスのタピオカパープルレモネード」

しかし一方で、「ドリンクを持ち帰りたい」という要望も多く寄せられました。そこで、「国内線であれば機内への飲料の持ち込みが可能であることがあまり知られていないのに着目し、『空の上で飲める』ことを大々的に周知して発売しました」(ミクシィ広報担当者)。

空港内の店舗で販売するにあたって、いくつかの工夫もこらしました。普段はタピオカドリンクを手に取りづらいと感じている男性でも持ちやすく、それでいてシンプルで可愛く、空港や機内で写真映えするパッケージデザインを目指したそうです。また、ほうじ茶ミルクや抹茶ミルクなど、訪日外国人にも楽しんでもらえるフレーバーを用意しました。

タピオカドリンクの売上高は4倍に

ボトル入りのタピオカドリンクを発売後、羽田の店舗でも買い上げ率(来店者数に占める購入客の割合)は発売前に比べて16%アップ。タピオカドリンク全体の売上高は、発売の前後で約4倍に拡大したといいます。

羽田空港・第1旅客ターミナルにある「XFLAG STORE + HANEDA」の店舗

このまま売れ行きが好調であれば、「今後はフレーバーを増やしたり、タピオカドリンク以外にも羽田空港ならではの新メニューを検討したい」と、前出のミクシィ広報担当者は明かします。

一世を風靡したSNS事業から、モンストの大ヒットによってゲーム会社へと見事な“ジョブチェンジ”を遂げたミクシィ。タピオカブームの上昇気流に乗って、今度は飲食・物販事業でも新たな地平を開拓できるでしょうか。

© 株式会社マネーフォワード