京アニ追悼は国境越え 献花台に海外ファン絶えず

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献花台に花を手向け、手を合わせる海外のファンたち(京都市伏見区)

 京都市伏見区桃山町因幡のアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオが放火され、男女35人が死亡、34人が重軽傷を負った事件で、現場近くの献花台には犠牲者を悼んで海外からもファンが足を運んでいる。追悼や励ましの声は国境を越えて広がっており、京アニ側も「世界中の皆さまへ」と題した再起を誓うメッセージを多言語で発表。作品が持つ普遍的な魅力を、改めて多くの人に印象づけている。

 事件から1週間後に現場を訪れたリトアニア人留学生の男性(28)は、高校時代に見た日本のアニメに影響され、留学先に日本を選んだ。「素晴らしいクリエーターに尊敬の念を抱きながら」花を手向けた。

 現場で手を合わせた岡山大大学院の中国人留学生の男性(24)は、京アニの作品の中でも特に「氷菓」が好きという。「高校の時は進路や恋愛に悩んだが、優しい作風の京アニ作品のおかげで乗り越えることができた」と感謝する。

 大阪府吹田市の男性(45)は2年前、「響け!ユーフォニアム」に登場する宇治市の風景をSNS(会員制交流サイト)にアップしたことをきっかけに、ロシアの京アニファンとつながった。現在はロシア語圏のファン約2万2500人が参加するSNSコミュニティの管理に携わる。

 男性が事件のことや「回復するまで待ってほしい」とのメッセージを送ると、「私たちは悲劇を共有している」「できることがあれば協力したい」といった声が次々と届いた。現地に作品のグッズを送ることもある男性は「京アニは私の世界を広げてくれた」と話し、海外ファンとのパイプ役として同社の支援に努める。

 寄付の動きも広がる。京アニ作品の配給を手がけてきた米国の「センタイフィルムワークス」が始めたクラウドファンディングでは16日までに、約7万人から約237万ドル(約2億5千万円)が集まっている。ほかの国でも支援の動きがある。

 事件直後は、多くの海外メディアも現場に駆けつけた。英ロイター通信の男性記者(51)は「日本アニメのファンは世界中に多く、カナダの大統領らがコメントを出したくらい非常に関心が高い事件だ。若い人がたくさん犠牲になったことも注目が集まっている理由だろう」と話し、「これからはなぜこんな事件が起こったのか、どんな人が犠牲になったのかを報道していくことが大切だ」と話す。

 中国の国営通信社「新華社通信」の女性記者は「中国では『涼宮ハルヒの憂鬱』など京アニの作品は人気が高く、今回の事件の反響は大きい」と強調。「中国のSNS『ウェイボー』でもたくさんのファンが心配の声を上げている。(京アニの作品が)どれだけ支持されているかを改めて感じた」と語る。