「人間将棋」商標に待った

天童市出願も特許庁認めず

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 天童市が出願していた春の風物詩「人間将棋」の名称の商標登録について、特許庁から認められなかったことが17日、市への取材で分かった。同名イベントが他県でも広がりをみせていることが主な理由で、対応が後手に回った形だ。市は別名称かロゴでの再出願を検討している。

 市によると、「人間将棋」と銘打ったイベントは、天童のほか全国3カ所で行われている。兵庫県姫路市は2015年から、岐阜県関ケ原町は17年から毎年開き、岡山県倉敷市も去年秋に初めて催した。1956(昭和31)年から64回の歴史を誇る天童とは比べようもないが、「第三者に登録され名称を使用できなくなっては…」との危機感から商標登録に踏み出した。

 去年6月に出願。既に登録されている類似名称がないなどの報告を弁理士から受けていた。しかし、本年度に入り、特許庁から送付されたのは「拒絶理由通知」。同名イベントが他自治体で開かれ「天童に限った名称ではない」と指摘されたという。

 甲冑(かっちゅう)姿の武者駒が巨大な盤上を動き、プロ棋士が対局する―。故事に倣ったこの趣向を確立したのは天童であり、姫路市、関ケ原町はともに手本にした。市商工観光課は「他自治体から『本家は天童』とリスペクトしてもらっている事情を強調する手だてが必要だったのでは」と悔やむ。

 将棋ブームは落ち着きつつあるが、同名イベントがさらに広がれば、本家の影は薄くなりかねない。市は長年にわたり培ったブランドを守るための次善策を検討。「天童桜まつり」をかぶせた名称、あるいは人間将棋をデザインしたロゴマークでの登録案を挙げる。「『人間将棋』の使用を禁止することはできないが、抑止力にはなり得る」(同課)との発想だ。

 ちなみに天童の冬の風物詩「鍋合戦」は2004年、天童商工会議所が商標登録済みで、無断使用できない。今年は11月17日に「令和鍋合戦」として開催する。