自主的に教育実践、研究に取り組んでいるサークルや団体、個人が参画する県民間教育研究団体協議会の夏の教育研究大会が18日、湘南学園小学校(藤沢市鵠沼松が岡)で開かれ、現役の教員や経験者ら約200人が参加した。教育を巡る今日的な問題をさまざまな角度から検証し教育現場での実践に生かす狙いで、54回目。
大会では、精神科医で立教大学教授の香山リカさんが「本当に子どもに必要な“学び”とは」と題して講演。子どもたちを巡る引きこもりを取り上げ、「本人は怠けているわけではなく、つらい思いをしている。とりあえず引きこもりというレッテルを貼っているが、教育、福祉、医療、警察の誰が対応し関わればよいのか」と問い掛けた。
その上で、診察室での経験を踏まえ、子どもの心の問題の特徴について「病気、非・病気の境が曖昧」と指摘。共通する心理的な背景として、傷つきやすく、自己肯定感が低い半面、自己実現欲求が高いといった点を挙げた。
香山さんは最後に、「『先生や大人が私を見てくれ、心配してくれた』『良い部分をパッと言ってくれた』など、『私を見てくれる大人』がいることを経験できれば、子どもにとって一番の学びになるのではないか」と締めくくった。
大会ではこのほか、子どもの居場所や共生社会、各教科に関する分科会も行われた。