【埼玉県知事選】新人5人の争い|大野元裕氏 VS 武田信弘氏 VS 浜田聡氏 VS 桜井志津江氏 VS 青島健太氏

8月8日に告示された埼玉県知事選には、無所属の大野元裕氏(55)、無所属の武田信弘氏(65)、NHKから国民を守る党で新人の浜田聡氏(42)、無所属の桜井志津江氏(63)、自民・公明の2党が推薦する無所属の青島健太氏(61)の新人5名が立候補しています。投開票は8月25日に行われます。
16年振りに新人同士の争いとなった今回は医療・介護政策、生産年齢の人口減少対策などが主な争点と考えられます。

また、選挙ドットコムでは全ての候補者に立候補の理由や重点政策、上田県政への評価などを聞くアンケートを実施しました。回答のあった大野元裕氏、武田信弘氏、青島健太氏からの回答内容を併せて掲載します。

【候補者アンケートの質問内容】
1、なぜ、他の政治家ではなく「埼玉県知事」に立候補するのか(立候補理由)
2、埼玉県が抱える課題のなかで、最も深刻な課題は何か?その課題に対してどう取り組むか。
3、重点分野2つ(2、の他に力を入れて取り組みたい分野を2つまで)
4、16年間の上田県政への評価(5段階)と評価する点・評価できない点の理由
(選択肢:高く評価する 評価する どちらとも言えない あまり評価できない 全く評価できない)
5、埼玉県庁舎建替えについてはどう考えるか
6、話題の『翔んで埼玉』について、漫画または映画はご覧になりましたか?
(選択肢:見た・見ていない)ご覧になられた方はその感想もご記入願います。

前知事の県政を継承・発展させ、日本一暮らしやすい埼玉を目指したい。大野元裕氏

大野氏は埼玉県川口市生まれ、慶應義塾大学法学部政治学科卒業、国際大学国際関係学研究科修士課程修了。外務省に入省し、財団法人中東調査会研究員、外務省国際情報局分析第二課専門分析員、在ヨルダン大使館一等書記官、在シリア大使館一等書記官、株式会社ゼネラルサービス取締役統轄本部本部長、財団法人中東調査会上席研究員、株式会社ゼネラルサービス専務取締役などを歴任。2010年の参院選(埼玉県選挙区)に初当選、2016年に再選。内閣府大臣政務官、防衛大臣政務官を歴任しました。

大野氏は以下の政策を掲げました。

埼玉県知事選挙 選挙公報

候補者アンケートへの回答
1、【立候補理由】
今、郷土埼玉は変化と挑戦のときを迎えており、ここで道を誤ることはできない。これまで培ってきた経験を活かして、郷土へ恩返しと未来への責任を果たしたいと考えました。私は専門家時代、警察や自衛官にテロ対策を指導するなど「安全」を築く取り組みに携わってきました。民間企業の経営も経験し、参院議員として9年間、政策活動に傾注し、防衛大臣政務官として22万自衛官の命に責任を負い、さらに世界最大の奉仕団体ライオンズクラブで歴代最年少のガバナーとして孤児院の寄贈等にも関わりました。これらさまざまな経験を通して培った全ての力を駆使し、埼玉の未来づくりを進めます。
2、【最も重視する政策】
一番は、進展する超少子高齢化への対策です。埼玉県は日本一少子高齢化のスピードが速い。スポーツ行動率を高め健康寿命を延ばすことで医療費を抑制することも必要です。また、コンパクト・シティ、スマート・エネルギー・ネットワーク、スマート・シティが融合し、職住近接で、エネルギー源が共存する「埼玉スーパーシティ構想」により交通・買い物難民の解消、地域コミュニティの維持・拡充とそれによる高齢者の孤立防止対策と子どもの育ちの見守り、ワーク・ライフ・バランスの実現とそれによる子育てしやすい環境づくり、スマート・ネットワークによる高齢世帯の連携強化等を進めます。
3、【重点分野2つ】
・あと数マイルプロジェクト
埼玉県境まで来ている公共交通(SR(埼玉高速鉄道)の延伸と、舎人ライナー、都営大江戸線、多摩都市モノレール)を延伸し、ラッシュ時の電車の渋滞緩和、沿線の道路渋滞緩和を図ります。同時に、交流人口、滞留人口を増やすことで、埼玉県内に人とモノ、お金を運んでくる仕組みを構築します。新上尾道路や東埼玉道路など県内の幹線道路整備を促進します。
・共生社会プロジェクト、子育て支援、教育の充実
外国人住民やLGBTQ、多様なライフスタイルを認め、自分らしく活躍できる埼玉をつくります。子供の貧困対策計画を策定し各種 NPO 等とも連携しながら、PDCAサイクルのなかで進捗を図ります。女性のキャリア支援や待機児童対策を進め社会全体で子育てを応援する地域づくりと消費性向の高い子育て層の可処分所得を増加させ、地域経済を循環させます。また、子供たちがAIでは対応できない想像力を育める教育、社会性を養う教育を推進します。
4、【上田県政への評価】高く評価する
・評価する点
高く評価している。就任当時約18万1000件だった刑法犯罪件数は「わがまち防犯隊」の拡充により15年間で3分の1の約6万件に減少。スポーツ推奨の取り組みにより県民のスポーツ行動率は全国一高くなり県民の健康寿命は確実に延びた。428億円かかる庁舎建て替えをやめ、使わなかった費用の多くを県立小児医療センターと県立がんセンターの建て替え費用に振り向け立て替えを実現した。日本一暮らしやすい埼玉をつくる基礎が築かれた。
・評価できない点
評価できないということではないが、県議会との関係については見直したいと考えます。地方自治は二元代表制であり、知事と同様に県民から選挙で選ばれ付託を受けた県議会議員の意見にもしっかりと向き合っていきたいと考えています。
5、【埼玉県庁舎建替えについて】
限られた予算は、県民が真に必要とする分野を優先させ、透明性の下で決定、執行する。具体的には、特別支援学校・児童相談所の拡充に力を入れたいと考える。また「公教育への重点投資」、県民の安心・安全に寄与する「警察への積極投資」を優先させる。県庁舎建て替え議論は「県民参加」を重視し、多様な県民のニーズを把握し、慎重な検証を重ねていく。そのため、1期4年の間に具体的な建て替えに向けた工事には着手はしない。
6、【『翔んで埼玉』について】
非常に興味深く拝見しました。
埼玉県人しか笑えないポイントも多く、また、そうした自虐的埼玉ネタを笑い飛ばせる寛容性も埼玉の魅力であると思います。日本埼玉化計画を私も先頭に立って進めてまいります。

県内の様々な問題を解決したい。武田信弘氏

武田氏は国際基督教大学卒業。会社員、神奈川県藤沢市立中教諭を経て県立高校の教諭を務めました。2007年宮崎県知事選、2010年春日部市議選、2007年・2011年・2015年の埼玉県知事選にも立候補しています。

武田氏は以下の政策を掲げました。

埼玉県知事選挙 選挙公報

候補者アンケートへの回答
1、【立候補理由】
自分は、もともと埼玉県立高校の教員であり、以前、自分が勤務していた埼玉県立高校での入試不正を告発しているため。つまり、他の都道府県では、入試不正の告発ができない。更に、知事職であれば、県立高校での入試不正について、きちんとそれを認め、是正のための対策をとることができるため。また、中学での業者模試禁止を全国に先駆けてやったのが埼玉県であり、埼玉県で試験不正についての是正ができれば、全国的にもよい影響があると思えるため。首都圏地震がかなり切迫しているはずであり、東京のバックアップ機能を持つ、埼玉での地震対策の充実が日本全体にとっても重要であるため。
2、【最も重視する政策】
今後、かなり急速に円安が進行するはずであり、その場合に、人口規模が大きい埼玉は東京とともに大きな影響を受けること。四国や九州といった田舎は、それなりに地域社会のつながりが強固であり、地元で食料の自給がかなりできますが、都市部に位置する埼玉は、地域社会の結び付きもより強固なものにする必要があり、食糧自給ができていません。平地が多い埼玉は、将来の少量不足へ備えるには関東で最もよい条件を持っています。まず、農業へのてこ入れが必要で、農家所得の向上を目指します。また、肥料や農機具の燃料の備蓄、気温低下に耐性のある野菜などの品種の普及。農業大学校の規模拡大と県内各地への支部作り。
3、【重点分野2つ】
1…地熱開発で安価な電力供給。埼玉県下の温泉は深さが1300m程度で温度が30度から40度あるため、仮に2000m程度まで掘れば、90度程度の温泉が得られる可能性が高い。それを使ったバイナリ発電が可能であり、まずは、県内各地の地熱勾配(場所ごとの地下の温度変化の調査。深くなればなるほど温度が上昇するので、どの程度上昇するかの調査)の調査をやりたい。
2…あらゆる試験制度の選抜・判定過程への受験生の参加。受験生のうちから1%程度がくじ引きなどで、選抜・判定過程に参加できるようにする。(ただし、県立高校入試においては、受験生の保護者が参加する。)このことによって、試験制度が透明化し、かつ、どのような資格に、どのような試験がもっともよいかの内容検討にもなる。県の職員採用試験や昇進試験なども同様。
4、【上田県政への評価】(編集部注・5段階では回答がありませんでした)
・評価する点:土屋県政時代に膨れ上がった県債残高などのコスト高の体質を堅実な体質へ転じることができた点。
・評価できない点:国からの交付金や県債に頼る状態から脱出することができていない点。こう書くと、不可能なことをやれといっていると思われるかもしれませんが、経済的な自立は可能です。
5、【埼玉県庁舎建替えについて】
県庁建替えは賛成。しかし、郊外移転が必要であり、埼玉県内の都市過密問題の解消の切り札として使うことができる。
6、【『翔んで埼玉』について】
見ていません。不勉強でした。なるべく早く見てみたいと思います。

NHKのスクランブル放送実現を目指す。浜田聡氏

浜田氏は1977年生まれ、京都大学医学部医学科卒業。現在は日本医学放射線学会放射線科専門医を務めています。

浜田氏は子宮頚癌ワクチン(HPVワクチン)の積極的な接種勧奨の再開、埼玉高速鉄道の延伸、JR川越線の複線化などを目指したい考えを示し、重点政策として以下を掲げました。

埼玉県知事選挙 選挙公報

地元を常に意識し、安心・安全・安穏の埼玉を目指したい。桜井志津江氏

桜井氏は東京都生まれ、駒沢女子短期大学卒業。学童保育、建設会社勤務、遺跡調査アルバイトなど務めました。

桜井氏は以下の政策を掲げました。

埼玉県知事選挙 選挙公報

県民に寄り添う、夢と生き甲斐の持てる埼玉を実現したい。青島健太氏

青島氏は新潟県新潟市生まれ、埼玉県草加市育ち、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社東芝を経て、1985年にヤクルトスワローズに入団。1989年に引退し、オーストラリアで日本語教師を務めました。帰国後はスポーツライターとなり、キャスターとしてテレビ番組に出演しています。慶應義塾大学、立教大学、流通経済大学、鹿屋体育大学、日本医療科学大学で非常勤講師、客員教授等を歴任しました。

青島氏は以下の7大政策を掲げました。

埼玉県知事選挙 選挙公報

候補者アンケートへの回答
1、【立候補理由】
6歳から埼玉で育ち、埼玉に誇りと郷土愛を持っています。行政の教科書のような模範解答ですと、知事の仕事は多岐にわたっており、政治家であると同時に、県の顔としての外交官、営業マン、経営者の役割も担っているものと思います。私は、先に示した役割以上に、知事は「輝く埼玉ブランドのセールスマン」であると考えます。埼玉県には可能性がたくさんあります。埼玉県には美しい山、川、歴史や文化があります。県民の皆さんと共に、様々な埼玉の持つ可能性を発掘し、磨き、育み、私自身が埼玉ブランドの先頭に立つことで、輝く埼玉ブランドの確立に努めていきたとの思いで埼玉県知事に立候補します。
2、【最も重視する政策】
埼玉県の最大課題は、人口減少社会に突入することです。人口増加が続いていた埼玉県も、その流れが止まります。これからは、少子化に加えて一気に進む高齢化が大きな課題になってきます。また労働人口の減少がもたらす人手不足も深刻になってきます。それが、埼玉県を取り巻く大きな「課題」と認識しています。この課題に対し、目標とすべき指針は、国連サミットで採択され、政府が推進する「SDGs」(持続可能な開発目標)の方向性であると考えます。私たちはすべての県民に寄り添い、子供たちからご年配の方々まで、すべての方々の個性が輝き、活かされ、夢と希望にあふれ、生きがいの持てる、県民くらし満足度ナンバーワンの埼玉をめざします。
3、【重点分野2つ】
1…県民の命とくらしと財産を守り抜くための、「強靭な県土の構築」を目指します。子供の虐待を絶対に許さない施策の推進、地域包括ケアシステムのきめ細やかな支援や県内医師不足と地域偏在の解消に向けた取り組みの推進等、いつまでの健康で安心して暮らせる社会の構築。水害や土砂災害から県民を守る強靭な県土づくり等、防災・減災・防犯・あらゆる安全対策を推進します。
2…「中小企業や地域経済の活性化」に取り組みます。今後、急速に進展することが予想される5G、AI、IoTなど、スマート社会実現に向けた率先した取り組みを強化し、県内企業にフェードバックします。また、高速道の利便性を生かした企業誘致、それに伴う雇用創出を生み出すことで、県内経済の活性化を図ります。
4、【上田県政への評価】評価する
・評価する点:子供の学習を支援する「アスポート事業」や、地域の防犯力を上げる施策等、県民の力を積極的に活用した点については、参考とさせて頂きたいです。
・評価できない点:経費削減だけではなく、将来を見据えて投資すべきところは大胆に投資する必要もあったと思います。
5、【埼玉県庁舎建替えについて】
県庁舎の現況や職場環境等の課題について整理する必要があると考えています。また、埼玉県では警察本部が独立庁舎になっていないとの課題もあります。更に、財政的な面も重要となります。様々な意見を伺いながら、今後、判断していきたいと思います。
6、【『翔んで埼玉』について】
(編集部注・この項目には回答がありませんでした)

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