【気象コラム】台風にご用心 低気圧に変わっても「腐っても台(タイ)」

 8月から9月は、台風の発生、台風の日本への接近、上陸数が年間で多い時期です。

 8月は、台風を流す上空の風がまだ弱いため、台風は不安定な進路をとることが多く、9月以降になると南海上から放物線を描くように日本付近を通るようになります。

月別の台風発生・接近・上陸の平年値(1981~2010年の30年平均) (気象庁ホームページより)

 気象庁は、台風が発生すると、台風経路図や全般台風情報で、台風の位置や強さを予報するとともに、防災上の注意を呼びかけます。

  台風が、比較的速い速度で接近するときは、嵐の前の静けさ、というように、そよ風でも1時間~2時間で急に暴風が吹きます。

台風の月別の主な経路(実線は主な経路、破線はそれに準ずる経路) (気象庁ホームページより)

 台風が、比較的遅い速度で接近するときは、暴風や強雨が長引きます。

 いずれにしても、台風の情報は刻々と変わり、接近が急に早まることがありますので、最新の台風情報をこまめに確認し、早め早めの対策が必要です。

  災害から命を守るために、日ごろからテレビやラジオ、スマホアプリ、ホームページなど、気象情報の入手先を確認しておきましょう。ハザードマップなどで避難場所を確認しておくことも必要です。

 台風接近の数日前は、風で飛ばされやすいものは固定するか、家の中に片付けましょう。そして、水の確保など非常用品の確認をしましょう。

 いよいよ台風が近づいた時は、増水した河川など、危険な場所には絶対に近づかないで下さい。風速25メートル以上の暴風域に入ると、外出は危険です。

  台風は、日本付近で北から寒気の影響が加わると、前線を伴う温帯低気圧に変わります。このとき、強い風が吹く範囲が広がり、台風の中心から離れた場所で大きな災害が起ることがあります。低気圧は、寒気の影響で発達することもあります。

 台風がそのまま衰えると、熱帯低気圧に変わります。この場合は、最大風速が17メートル未満になっただけで、強い雨が降ることがあり、大雨の恐れがあります。

  台風から変わった低気圧は、気象予報の現場で「腐っても台(タイ)」といわれることがあります。温帯低気圧や熱帯低気圧に変わっても消滅するまで油断はできません。

 (気象予報士・白石 圭子)

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