オーストラリア・スーパーカー戦うニッサン、エアロテストを完了。「100以上のセットを試した」

 2019年シーズンのVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーで、ニッサン・アルティマL33をプライベーター体制で走らせるケリー・レーシングが、ウィントン・レースウェイで終日のプログラムをこなし、充実のテストを完了。許可されたエアロ・パッケージのアップデートに向け1200kmものマイレージを走破した。

 このインシーズンテストは、8月第2週にVASCのテクニカル部門からアナウンスされた性能調整の一環となり、8月末に開催される第10戦”ザ・ベンド”を前にアルティマのエアロを変更することが許可され、チームは4台のマシン全車を持ち込んで新パッケージの評価を行った。

 このテストでケリー・レーシングは1200kmもの走行距離を稼いだが、ウィントン・レースウェイが再舗装されていた影響もあり、リヤ寄りとなったエアロバランスがフロントエンドのグリップにどれほどの影響を与え、リヤの新型ガーニーフラップがどれほどのドラッグを生んでいるか、確定的な評価が難しい部分も残された。

「環境的な要因で難しい面は確かに発生したが、新しいエアロパッケージを理解することがこの1日の主な鍵だったので、4台で1200kmを超える距離を走破し、100を超えるさまざまなセットアップの変更を試すことができた」と語るのは、チームのジェネラルマネージャーであるスコット・シンクレア。

「だから、実際の作業はタイレムベンドに向かう前の来週が勝負になる。レースウィークを走り出す前に、できる限り良いセットアップを確定し、競争力のある状態で走り始めたいからね」

「とはいえ、我々は今回のテストでやるべきこと、やりたいことをすべてやり遂げ、ドライバーもこの変更についてかなり前向きな感触を得ている。しかし、タイレムベンドで実際に競合たちと一緒に走るまでは、我々がどの程度の進化を達成したか、本当のところを知ることはできないだろう」

 ただし、シンクレアはこのウィントンのトラック特有の個性が、今回のエアロパッケージ評価の指標を完全なものとする妨げとなったことも明かした。

新型エアロパッケージのテストで「好感触を得た」と語るエースのリック・ケリー
シリーズに投入する4台全車を持ち込み、1200kmにも及ぶマイレージを走破した

「そう、我々は確かにエアロバランスをより後方寄りにすることを狙い、期待することを成し遂げて、このパッケージではドライバーに少し快適さを提供することができた」

「ただし、このウィントンはもともとフロントグリップが強いサーキットで、エアロバランスをリヤ寄りにしたことでフロントにどんな影響が出たか、測り難いところもあるんだ。その点は、より一般的なトラックでの走行までデータの定量化は待たなくてはならないね」

 エースを務めるリック・ケリーは、ファクトリーから持ち込んだ状態でコースインし、その最初のフィーリングから「マシンの変更点とパフォーマンスにおおむね満足した」と述べた。

「全体として、チームが行った改良の作業は、セットアップとドライビングの双方の観点から、マシンをより”ユーザーフレンドリー”にすることにつながっている」とリック・ケリー。

「僕らのアルティマはこれまでも時折速さをみせてこれたが、ドライビングの点ではそのスピードを維持するのがとても難しかった。それぐらい、入力に対する反応が敏感な面があったんだ」

「昨年のクルマにはそういう面があったし、今回の改良でも同じ方向性に向かっていて、ドライビング操作に少し寛容になり、以前より完璧なラップに近づけるのがイージーになった気がする。レースで重要なのは、マシンの性能を最大限活用することだ。その点で、合理的なアップデートになっていると思うよ」

 8月23〜25日に開催される第10戦”ザ・ベンド”のスーパースプリント戦では、5月下旬から古傷の治療で戦線離脱していたリッチー・スタナウェイもカムバックすることが決定。これまで耐久カップ登録ドライバーだったクリス・ピザーや、元ニッサン所属のマイケル・カルーソを代打起用してきたGRM(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ)だが、先日のフィットネス・テストでスタナウェイの回復が確認できたとし、2017年のサンダウン500ウイナーが久々に33号車ホールデン・コモドアZBのステアリングを握ることがアナウンスされている。

2019年シーズンは1勝も挙げられずと、苦しい戦いが続くケリー・ニッサン陣営
変更点はフロントのアンダーパネルやトランクリッド、リヤウイングのガーニーフラップ等に留まる

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