<参院選東北>野党共闘達成率 宮城など3県全国平均上回る

©株式会社河北新報社

◎基礎票固め、無党派吸収

 7月の参院選で立憲民主、国民民主、共産、社民4党は全国32の改選1人区で統一候補を擁立し、東北6選挙区では4勝2敗で勝ち越した。各県で4党が得た比例代表票と選挙区での得票を比べた「共闘達成率」を見ると、新人が当選した宮城、秋田、山形で全国平均を上回った。基礎票を固めた上で無党派層を取り込み、共闘が奏功した形だ。

 与党候補が敗れた宮城、秋田、山形では自民、公明両党の比例票を選挙区でも確保できれば当選できた計算。「参院議員は地元の活動が不足する」という政界の定説通り、支持基盤を固め切れなかった実態が浮き彫りになった。

 東北6選挙区の与野党候補の共闘達成率はグラフの通り。

 野党で最も高かったのは秋田の155.2%で全国3位。比例票の約1.5倍を獲得した。山形が153.9%、宮城が134.5%と続き、全国平均(127.0%)を超えた。

 一方、与党は秋田が87.5%、山形が89.0%、宮城が95.8%と100%を切った。

 岩手の平野達男氏(65)は110.2%と健闘したが、横沢高徳氏(47)に敗れた。横沢氏の114.4%は、野党が10勝した1人区で最低。データ上では、浮動票を奪い合う激戦だったことがうかがえる。

◎知名度など生かし4勝

 2016年の5勝1敗にこそ届かなかったものの、7月の参院選で野党統一候補の新人が4勝2敗となった東北。与党が過半数を維持する中、勝ち越しの要因は何か。

 宮城は立憲民主党の地元ラジオ局アナウンサー石垣のり子氏(45)が、祖父から続く地盤で4選を狙った自民の愛知治郎氏(50)を振り切った。

 「『現職の顔が見えない。新しい人に託したい』との声が多かった。安倍1強政治を変えてほしいとの後押しもあった」と石垣氏。長期政権の緩みへの批判を強く感じたという。

 知名度のある候補を立て無党派層を引きつける戦略は、宮城の旧民主党が得意とした。いずれもアナウンサー経験者で元参院議員の故岡崎トミ子氏、元衆院議員の故今野東氏、衆院議員時代の郡和子仙台市長らをほうふつとさせる。

 立民県連顧問の安住淳元財務相(衆院宮城5区)は「世襲の自民候補と対比しやすい候補を擁立できた」と勝因を強調する。

 山形で勝った芳賀道也氏(61)も元地元局アナウンサーとしての人気が武器となり、自民の大沼瑞穂氏(40)の再選を阻んだ。

 対照的に岩手は野党勢力が地力を見せつけた。国民民主党の小沢一郎氏(衆院岩手3区)の後援会組織と野党各党の歯車がかみ合い、横沢高徳氏(47)を議席に押し上げた。

 4選を逃した自民の平野達男氏(65)は元復興相でかつての小沢氏門下生。知名度で先行したものの、最終盤で抜き去られた。党県連幹部は「首相らが応援に入って仕掛けても組織力の差は歴然。勝てる候補だと自信はあったが、敗因はこれまでと同じ小沢氏だ」と肩を落とす。

 秋田は地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」が争点に浮上。配備反対を訴えた寺田静氏(44)が、再選を目指した自民の中泉松司氏(40)を破った。

 国防政策への民意を問う形になった寺田氏は「自民支持層や無党派層が、今回は野党の話も聞いてみようと思うきっかけになったのでは」と振り返る。

 自民党地方組織・議員総局長の西村明宏宮城県連会長(衆院宮城3区)は「東日本大震災以降、漠然とした将来への不安を抱える人が多いと感じる。地域経済や農林水産業への潜在的な不安があるのは事実。各候補者の問題はあったが、明るい兆しを感じてもらえる政策の訴えが不足した」と負け越しの要因を分析する。