心の古里・白竜湖を守れ、作戦始動

南陽カヌー・カヤッククラブ、湖面の水草除去

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水位低下を防ぐためヒシを除去する作業が行われている白竜湖

 心の古里・白竜湖を守れ―。南陽市内のカヌー愛好者らでつくる「南陽カヌー・カヤッククラブ」(野川寿一会長)が、「今世紀中に消滅の可能性がある」とされる白竜湖(同市赤湯)の水位低下を防ぐ取り組みを本格化させた。湖周辺を含む使用許可を受け、カヌーに乗って湖面のヒシ(水草)を除去する。ヒシは堆肥化する計画で、循環型農業にも貢献しようという試みだ。

 クラブは今年2月に発足した。市教育委員会による白竜湖の周辺環境調査報告書で昨年、専門家が「湖はおおむね1年に1センチずつ浅くなり、このままでは今世紀中に消滅する可能性がある」と指摘したことに危機感を覚え、クラブとしてできることはないか検討。カヌーの普及に加え、カヌーを使った湖の環境保全という方針を掲げた。

 市教委によると、湖は現在、水深1メートル前後で推移している。湖水中の窒素やリンが多くなる「富栄養化」によるヒシの成長が水位低下の一因とされており、クラブの会員は発足前の昨年11月に試験的に除去。本年度は先月30日に会員と市の担当者、置賜農業高(川西町)の生徒ら計約10人で第1弾の作業を行い、カヌーをこいで計約250キロのヒシを抜き取った。

 白竜湖は湿原植物が枯れて堆積し、約10万年前から形成されてきた泥炭層の上に浮かぶ湖。「白竜湖泥炭形成植物群落」は、県天然記念物になっている。市は大規模な作業も想定し、文化財保護法に基づく現状変更の許可を受けた上で今月20~22日、専用小型船をチャーターしてヒシの除去作業を行う予定。クラブのメンバーも手伝うという。野川会長は「夏場は繁茂が早い。今月の作業を含め、年内に計4回ほど取り除きたい」とする。

 さらに、除去したヒシはクラブ側の依頼を受けた市内の酪農家が、乾燥後に牛ふんを混ぜて堆肥を作り、牧草地にまくことになった。今年春ごろ、会員から「捨てるだけでなく、何か有効な活用策を検討しては」と話が持ち上がったことがきっかけだった。野川会長は「想定外だったが、農業を支える取り組みで活動の幅が広がった。喜ばしい」と話す。

 南陽市民にとって「心の古里」ともいえる湖を守るため、クラブは可能な範囲で取り組みを続けていく考えだ。