ラグビーW杯開幕まで1カ月 熱気支える元女子日本代表は、高3の夏入部した異色の経歴

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元日本代表がボランティアに-。ラグビーW杯を心待ちにする渡辺亜依さん=神戸市中央区

 開幕まで20日で1カ月に迫ったラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会。1次リーグ4試合がある神戸では、ラグビー15人制女子の元日本代表選手、渡辺(旧姓日向寺(ひゅうがじ))亜依さん(24)=神戸市灘区=が運営ボランティアとして活動する。激しくぶつかる試合が終わればたたえ合い、友情を誓うラグビーの「ノーサイド」の精神。自身がプレーして知った魅力を多くの人に伝えようと意欲を燃やす。

 北海道出身の渡辺さんがラグビー選手を志したのは北海道遠軽(えんがる)高校1年の時。聖地として知られる大阪・花園ラグビー場で、全国高校大会に出場した兄を応援したのがきっかけだった。

 努力を重ねながら膝のけがで実力を発揮できなかった兄の姿に「いつか私がラグビーで活躍し、悔しさを晴らしたい」と決意。当時はバレーボール部だったが、活動を終えた3年の夏、ラグビー部の門をたたいた。異例の入部時期だった。男子部員に何度なぎ倒されても弱音は吐かず、生来の負けん気で乗り越えた。

 翌春に卒業後、高齢者へのトレーニング指導などの仕事をしながら、横浜や東京の女子チームでプレー。高校時代に男子とのぶつかり合いで磨かれたパワー、バレー仕込みの空中戦の強さなどで頭角を現した。日本代表でスクラム戦などの主力を張り、2度のアジア制覇に貢献。2017年の女子W杯にも出場した。

 しかし、肩の脱臼などのけがに悩み、「ベストパフォーマンスができない」と17年末に現役を引退。間もなく、ラグビー・トップリーグの神戸製鋼コベルコスティーラーズ渡辺隆之選手(25)と結婚したのを機に、神戸へ移り住んだ。

 現在、医療機関向けシステム会社の営業職として多忙な日々を送る。それでもラグビーへの情熱は衰えず、「競技の魅力を知ってほしい」と、各地の体験イベントで子どもに手ほどきする。

 W杯では、神戸での開催期間中(10月8日まで)に試合のパブリックビューイングなどを行う「ファンゾーン」が設けられるメリケンパーク(神戸市中央区)で、ラグビー体験ブースの運営を担う。現役時代に外国人選手との交流で身に付けた英会話術を駆使し、ラグビーにとどまらず神戸の魅力も発信するつもりだ。

 「神戸には海も山もある。六甲山からの夜景や神戸ビーフなども薦めたい」と渡辺さん。「W杯は国境を超えたつながりをつくり、“ラグビーファミリー”の輪を広げる機会になるはず。そのお手伝いが少しでもできれば」と夢を語る。(佐藤健介)