W杯仕様へ急ピッチ 昭和電工ドーム、HB芝に改修【大分県】

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ラグビーW杯大分開催に向け、昭和電工ドーム大分で芝の張り替えが始まった=19日午後、大分市横尾

 世界を迎える万端の準備を―。9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会のキックオフが1カ月後に迫った。予選リーグ3試合と準々決勝2試合がある大分市横尾の昭和電工ドーム大分では、天然芝からハイブリッド(天然と人工の混合=HB)芝に張り替える工事が始まった。可動席や大型ビジョンも増設し、10月2日の大分開催初戦までに会場をW杯仕様にする。 

 19日は業者9人が従来の天然芝に切り込みを入れ、重機で剥ぐ作業を進めた。約1週間かけて撤去した後に整地し、三重県内の専用ほ場で育てたHB芝をロール状(幅約1.2メートル、長さ約10メートル)にして9月初旬から搬入、ピッチに敷き詰める。養生期間を含め、同月末には完全に切り替わる見通しだ。

 完成から19年目に入ったドームはサッカーのW杯や大分国体、J1・大分トリニータのホームゲームなどに活用されてきた。風が通りにくい施設形状などから天然芝の根付きが悪く、しばしば荒れたグラウンドが問題化。ピッチの安定は長年の課題だった。

 ラグビーW杯はスクラムなどでこれまで以上に強い負荷が想定されることから、県は昨年、人工繊維の上に天然芝を絡ませて強度を高めるHB芝の導入を決断。約2億8千万円を投じて準備を進めてきた。

 世界トップレベルの国際マッチに見合う会場にするため、W杯組織委員会が求める十分なスペースも確保する。ドームの現在のピッチ面積は約7600平方メートル(縦107メートル、横71メートル)。本番は約1万400平方メートル(縦130メートル、横80メートル)に広げ、陸上競技用のトラック部分には人工芝を敷く。

 既存のスタンド前には可動席を設置。約3万4千人の座席数を4万人に増やし、仮設の大型モニター1基(高さ8メートル、幅15メートル)を客席北側に追加する。ほかにも▽高画質なテレビ中継に対応するための照明の増設▽音響機器や通信設備の改修―なども進めてきた。芝以外の総工費は約13億5千万円に上る。

 三村一(まこと)県公園・生活排水課長(56)は「万全を期して世界の一流プレーヤーを迎えたい」と話している。

〇5会場がHB芝導入

 天然、人工混合のハイブリッド(HB)芝は2014年ごろから海外で普及し始めた。スクラムなど激しいプレーに耐える高い強度が特長で、前回の15年ラグビーW杯イングランド大会は13会場中12会場が採用した。

 日本大会では全国12会場のうち5会場がHB芝を取り入れる。さまざまな工法があり、昭和電工ドーム大分は、地中に敷いたメッシュと人工芝に天然芝の根や茎を絡ませて強度を高めるタイプを導入。決勝がある日産スタジアム(横浜市)も同方式を採用している。

 昨年2月にHB化したノエビアスタジアム神戸(神戸市)、今月19日に工事を始めた味の素スタジアム(東京都調布市)は、天然芝の隙間に人工芝を等間隔で埋め込む仕組み。釜石鵜(うの)住居(すまい)復興スタジアム(岩手県釜石市)は繊維やコルクを交ぜて補強した土壌に天然芝を張っている。