『ドッグマン』 毒友の呪縛から逃れられない、哀れな男の話

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 イタリアの有名監督マッテオ・ガローネが、1980年代に起きた殺人事件をモチーフに描いた人間ドラマ。どんなどう猛な犬もあっという間に手なづけてしまうトリマーであり、娘を溺愛する小心者の男を怪演した主演のマルチェロ・フォンテは、第71回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲得しました。

 主人公のマルチェロは、美しい娘と友人に囲まれてそれなりに楽しい日々を過ごしていましたが、地元の友人シモーネの暴力的な支配から抜けられずにいます。その関係は、劇場版の友人思いなところを全部取っ払ったジャイアンとのび太のよう。問題ばかり起こしているシモーネからある仕事を手伝うように頼まれたマルチェロは断ることができず、周りの信用をも失うことになってしまいます。

 日本でも男の人ってなぜか、若い頃の主従関係が大人になってもずっと続いていることがありますよね。つい先日も、地元の居酒屋さんでいい年をしたおじさんが、「こいつは高校の後輩でさ!」と偉そうな口をききながら、男性の頭を叩いている姿を見たばかり。シモーネとマルチェロのような暴力的な主従関係は世界中で共通してあるはず。

 周りから、なぜあいつといつまでもつるむんだと言われながらも、その関係性を変えられない2人の間に流れる不穏な空気。精神的に追い詰められた男性が一体どんな行動を取るのか。息の詰まるような緊張感を映画館で感じてもらいたいです。★★★★☆(森田真帆)

監督:マッテオ・ガローネ

出演:マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ペーシェ

8月23日(金)から全国順次公開

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