ハム宇佐見、攻撃型捕手の触れ込みも高まる守備の評価 「来年はすごいレギュラーに…」

日本ハム・宇佐見真吾【写真:石川加奈子】

今シーズン途中に巨人からトレード移籍で日本ハムに加入した宇佐見

 今季途中に巨人から日本ハムにトレード移籍した宇佐見真吾捕手。当初は攻撃型捕手として期待されたが、守備での評価も高まっている。

 17日の本拠地楽天戦でエースの有原航平投手と初めてバッテリーを組み、7回2安打1失点と好リード。この試合、最後までマスクをかぶると、8回の堀瑞輝投手、9回の秋吉亮投手を無安打無失点に導き、チームの連敗を9で止めた。

 有原のボールを受けたのはこの日の試合前ブルペンが初めて。ぶっつけ本番で臨んだ宇佐見は「緊張しましたが、いい投手なので、どんどんストライク先行でいこうと思いました」と冷静に引っ張った。自己最多&ハーラーダービートップとなる12勝目を挙げたエースは「いいリードをしてくれたので、気持ちよく投げることができました」と新しい女房役に感謝した。

 移籍当初は打撃面での期待が大きかった。6月28日に行われた入団会見で栗山英樹監督は「攻撃キャッチャーが課題で、のどから手が出るくらいほしかった」と即日出場選手登録。宇佐見自身も「バッティングが一番の売りなので、そこをアピールできれば」と抱負を語っていた。

 ユニホームが間に合わない中で臨んだ6月28日のソフトバンク戦(札幌ドーム)は代打でのデビューだった。7月2日西武戦(札幌ドーム)には「7番・DH」で先発し、4打数3安打2打点と活躍。移籍3試合目の出場で早くもお立ち台に上がった。

 移籍後すぐにバットで答えを出したが、守備では時間がかかると見られていた。一人一人の投手とコミュニケーションを深めて特徴や性格を把握すると同時に、ほぼ初めて対戦するパ・リーグの打者の特徴も頭に入れないといけないからだ。

宮西も一目置く「来年はすごいレギュラーになる可能性があると思うよ」

  だが、そんな心配は杞憂だった。鶴岡慎也バッテリーコーチ兼捕手は「(好リードは)試合に出て慣れてきたということ。もともと肩は強いし、ワンバンも止めるのがうまい。レベルの高いキャッチャーだから」と評価する。

 ベテラン左腕の宮西尚生投手も、宇佐見の捕手としての能力の高さを認める1人だ。「来たばかりだから当たり前なんだけど、良いところを引き出してくれるけど、まだ(投手の状態が)悪い時の引き出しが少ないかな。ただ、来年はすごいレギュラーになる可能性があると思うよ」と一目置く。

「配球は組んでいかないと分からないもの。今年は(清水)優心と相性がいいけど、去年ひたすら話しまくったからね。投げたい球と照らし合わせて、話しまくって今がある。宇佐見の場合、こういう時期だから、そこまで(話し合う)余裕がない。来年のキャンプで組みたいね。お互い経験して、話し合って詰めていけばいい。思い切った配球をするけど、今はまだ本当の意図を感じられていないので」と宮西は続けた。

 現在、1軍の捕手は宇佐見と清水の2人だけ。鶴岡バッテリーコーチ兼捕手は「(清水)優心は自己主張が強くてよくしゃべる。宇佐見は控えめで静か。タイプが違って面白い。あとは結果を残すこと、プロ野球なので」と競争をあおる。

 移籍前に3試合、移籍後25試合に出場している宇佐見は、キャリアハイだった18年の29試合出場を上回ることはほぼ確実だ。打率は.224と下降気味だが、得点圏打率は.500と勝負強さを持っている。プロ4年目の26歳が新天地で打って守れる正捕手への道を突き進む。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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