新時代・鉄とともに【4】

モルエオープン12年・日本製鉄室蘭製鉄所110年

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地域貢献へ社有地活用

■広々

開業12年を迎えたモルエ中島。順調な集客を維持している

 「これからも地域の商業に貢献していきたい」。室蘭市中島本町の商業施設モルエ中島を運営する日鉄興和不動産室蘭事業所の鈴木誠治所長=釜石事業所長兼務=はこう力を込める。モルエは今年で開業12年を迎えたショッピングセンター。新日鉄(当時)の社有地の有効活用を検討、人口減少対策や商業振興を目指して事業化した地域貢献策だ。

 モルエの施設全体の年間来店客は推計で延べ「600万人」(日鉄興和不動産)を突破した。室蘭の商業界に「変革」を起こし、商圏は室蘭はじめ、登別、伊達と西胆振から買い物客が訪れる。

オープン時に混み合うモルエ中島のテナント。新たなテナントを誘致する動きもある

 「ハートが集まる、まちになる」をキャッチフレーズに、2007年(平成19年)4月、四つの専門店と18のテナントが日本製鉄室蘭製鉄所(旧新日鉄室蘭製鉄所)の室蘭中島総合グラウンドに開業。今年7月に100円ショップ大手の「Seria(セリア)モルエ中島店」がオープンし、全30店の陣容となった。

 敷地面積約6万9千平方メートル、建物延べ床面積約2万8千平方メートル。「西胆振最大規模」を誇る。オープン当初から、高い天井、ゆとりのある広々とした通路、カラフルなカーペット敷きの空間。買い物客のニーズに合わせた落ち着いた雰囲気を意識するなど、「室蘭地域では新しい」商業空間として知名度を高めた。

 鈴木所長は「室蘭にはなかった業態と空間が好評を得ている。地元店舗と室蘭初出店の店との融合がうまくいっている。あらゆる業態が集積する店内は、老若男女のリピーターを獲得した」と手応えを語る。

 モルエ開業以前は、苫小牧や札幌圏などに買い物客が流れていたが、家庭耐久品、レジャー品の2品目で3位(室蘭市消費動向調査)になるなど、購買力の市外流出抑制に一役買った。08年には魅力的な土地活用が評価され、財団法人都市みらい推進機構の理事長賞(土地活用モデル大賞)を受賞した。

■成功

 集客の要はスーパーアークス中島店。また、今年核テナントとしてSeriaモルエ中島店が開店し、着実に売り上げを伸ばしている。「小売業界に新たな動きが生まれた」(商業関係者)と評されるなど、買い物客の動きが流動化し「新業態によるてこ入れが成功した」と見る向きがある。

 2期工事も終了。1期工事は地域と企業が一体化した商業振興策を練り、住民対応や立地環境を丁寧に進めた経緯がある。17年にホームセンター大手・DCMホーマック室蘭中島店が開店、別テナントを誘致する動きも加速。

 丸井今井室蘭店の閉店後、商業の中心地はモルエに移りつつある。商業地図が様変わりする中、18年に複合公共施設・市生涯学習センター・きらん(中島町)がオープンし、地域の商店街振興や他地域の大型店の動向も市民の関心を集める。

 一方、課題もある。「滞在時間」の確保だ。解決に向け、「イベントやテナントで集客を図り、テナントを含め、施設をさらに充実させ地域の活性化に貢献したい」(鈴木所長)。

 モルエの「成功体験」を室蘭地域に波及させることが必要となる。室蘭を含め「西胆振」を商圏として捉えた各地域の消費拡大にどうつなげるか。今後の展開が注目される。
(粟田純樹)

(2019年8月20日掲載)