三菱重工、長崎に航空部品工場新設 10月着工 来年中の生産目指す

長崎造船所に建設される航空エンジン部品工場のイメージ図。左のレンガ造りは三菱重工長崎造船所史料館(三菱重工業提供)

 三菱重工業は19日、需要増加が見込まれる航空機向けエンジン事業を拡大するために、長崎市の長崎造船所内に部品工場を新設すると発表した。投資額は約80億円で、雇用計画は100人規模。10月に着工し、来年中の生産開始を目指す。
 日本航空機開発協会によると、航空エンジンは今後20年間で約130兆円(約8万3千基)の需要が予測される成長市場。長崎造船所は主力事業の造船と火力発電で苦戦しており、第3の柱となるか注目される。
 三菱重工によると、子会社の三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市)の長崎工場として、長崎市飽の浦町の船舶用プロペラ工場跡地に、新工場(床面積5400平方メートル)を建設する。三菱重工が愛知県以外に航空エンジン事業の拠点を置くのは初めて。
 長崎で生産するのは、欧州の航空機大手エアバスの小型機「A320neo」に搭載するエンジン「PW1100G-JM」の燃焼器。圧縮した空気を燃焼・爆発させて推進エネルギーに変える。小牧本社工場から生産を移管し「新燃焼器センター」として稼働。段階的に生産規模を引き上げ、最大で月100台超の燃焼器製造を計画している。人員構成は今後詰めるという。
 素材の受け入れから加工、組み立てまで一貫した生産ラインを構築する。加工難度が高いことから最新鋭の工作機械を導入、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)技術を積極的に活用し生産効率を上げる。
 本県は、造船に次ぐ新たな基幹製造業として航空機産業に着目。三菱重工側に地元での新規事業展開を要請していた。昨年8月には県航空機産業クラスター協議会(現会員数49社)が発足。企業の連携や新規参入によるサプライチェーン(部品の調達・供給網)構築を目指している。

© 株式会社長崎新聞社