ヒトラーに才能を愛され、世界中に憎まれた― 20世紀を4回生きた女性の波乱の人生を追う珠玉のドキュメンタリー『レニ』!

映画監督としてヒトラーにその才能を愛され、戦後は世界中に憎まれ「20世紀を4回 生きた」と言われる女性、レ二・リーフェンシュタールの波乱の人生を追った大作ドキュメンタリー『レニ』が11月6日に発売される。(発売・ 販売元:キングレコード/Blu-ray・DVD同時発売)。国内初Blu-ray化となり、HDニューマスターを使った商品は世界初。

レ二・リーフェンシュタールは、世界映画史、あるいはドイツ第三帝国を語るうえでは触れずに通ることはできない監督の一人だ。10代にダンサーとし て注目を浴び、女優としてマレーネ・ディートリッヒと共演するなど活躍しながら、映画監督の道へと進み、自ら監督・主演をした『青の光』(32)で注目されナチスに招聘されドイツではいまもなおタブーとなっている1934年ナチス党大会の記録映画『意志の勝利』(34)を監督した。

1936年に行われたベルリン・オリンピック大会の記録映画『オリンピア』で第6回(1938年)ベネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。同作は映画史上 に燦然と輝く傑作であり、日本でも1940年度のキネマ旬報ベスト・テンで外国映画部門で一位を獲得し、大ヒットした。スポーツ撮影の基本が確立した、 と言われる『オリンピア』の撮影では、170人のスタッフを陣頭指揮し、当時では珍しかった移動撮影や複数の移動するカメラで撮影したフィルムを後に 編集する技法、地面に穴を掘っての撮影、気球を使用しての空中撮影など、革新的な撮影方法を生み出した。ナチス党員になることもなかったレニだが、戦後に「ナチス協力者」のレッテルをはられ、非難、黙殺を受けながらも数多くの裁判を闘い抜き、70歳を越えて写真集「ヌバ」で見事なカムバックを果たし、2003年に101歳で亡くなるまでクリエイティブの現場で活躍し続けた。

ちなみに、1940年代のベルリンを舞台に芸術と権力のはざまで葛藤す る人々を描き数々の演劇賞を受賞した三谷幸喜作・演出の舞台「国民の映画」ではレ二・リーフェンシュタールは"ナチスに愛された女"として登場している。

1993年に製作された本作はそんな彼女の波乱に富んだ人生をあますことなく描ききった唯一無二の作品である。1993年にシカゴ国際映画祭シル バー・ヒューゴ賞、グラーツ国際映画祭審査員賞、モントリオール国際映画祭ナショナル・フィルムボード賞を受賞、翌1994年にはサンフランシスコ国 際映画祭ゴールデン・ゲイト賞、トレント国際映画祭銀りんどう賞、シドニー国際映画祭最優秀キュメンタリー賞、シアトル国際映画祭金の針賞などを 受賞するなど世界各国の映画祭で話題をさらった映画『レ二』はレイ・ミュラー監督によるレ二へのインタビューを軸に、ダンサーとして踊る貴重なフィルム、主演映画、監督作品のメイキングフィルム、ナチ時代の映像や未公開の映像をふんだんに挿入して彼女の人生の軌跡を辿っていく。

ファシズム をどうとらえるか、ヒトラーやゲッペルスなどナチ高官との関係、あるいは芸術家の政治的責任について、孫のような世代のミュラー監督が執拗な質問をしても、レ二はひるまずに自分の正当性を主張し、ときには猛然と反論する。そしてそのレ二に臆することなく互角にわたりあう監督のミュラー。本作で監督はレ二がなぜ「憎まれ、愛され、弾劾され、賞賛される」のかを明らかにする。

想像を絶する幾多の困難にも常に真正面から立ち向かい、芸術 のためにはすべてを投げ打って没頭するレニ。激動の時代の貴重な未公開フィルムもまじえながら、“20世紀を4回生きた女性”といわれる彼女の素顔に迫っていく。なお、特典としてオリジナル予告編の収録が決定した。 レニが心血を注いだベルリンオリンピックと言えば、現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」では上白石萌歌がベルリンオリンピックに出場した伝説 のスイマー・前畑秀子を演じ「前畑、頑張れ!」の伝説実況シーンが再現されたことなどを考えると、感慨深い作品である。

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