あえてクリークを易しいモデルに 3Wと5Wの選び方を小祝さくらと考える【女子プロから学ぶセッティングのスパイス】

©グローバルゴルフメディアグループ株式会社

クリークをあえて優しく その意図は?(撮影:米山聡明)

アマチュアゴルファーは女子プロのスイングを参考にした方が良いと言われている。なぜなら女子プロの平均的なヘッドスピードは、一般的な男子アマの平均値と同じ40m/s程度だからだ。

だが、本当に参考できるのはスイングだけだろうか。女子プロたちも我々アマチュアと同じように「球が上がらない」、「スピンがかかりすぎてしまう」といった多種多様の悩みを抱えていて、それを矯正しているのは、スイングだけでなく14本のクラブたちなのである。

そこで、女子プロたちがクラブセッティングにしている、ちょっとした工夫=スパイスをピックアップ。クラブ選びの参考にしてきたい。今回は小祝さくらのスプーン(3番ウッド)とクリーク(5番ウッド)。

3番ウッドが難しいと感じているゴルファーは多いだろう。シャフトが長くロフトが立っている、そのクラブを扱うのはアマチュアにとっては容易ではない。『まだ5番ウッドの方が打てる』という声がほとんどだろう。だが、小祝のセッティングを見ると3番ウッドが『ZF85』、5番と7番が『XXIO9』と同じダンロップのクラブだが、3番の方がハードなスペックを入れているのである。

その理由を小祝はこう話している。「球筋がスリクソンの方が強いので、3番はスリクソンの方を入れています。5番と7番はゼクシオのほうが高く上がってくれるので選びました。スリクソンの方がちょっとだけハードスペックでヘッドも小さい。ラフとかに入ると抜けにくいし、高い球も出にくい。3番はフェアウェイに行って2オン狙うパー5や届かないパー5でもできるだけ前に行きたいときや、短いホールでバンカーが邪魔なティショットとかで使うクラブです。ラフからは3番ではほとんど打たないです」。要は、基本的に3番ウッドではいいライからしか打たないというわけだ。

とはいえ、こういったある種の“割り切り”をしたセッティングというのはツアーでも少数派。基本的には3番、5番と同じモデルを入れている選手が多い。どういうゴルファーが小祝のようなセッティングが合うのか。また、3番ウッドをハードスペックにするのはどうなのか。プロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏に、3番ウッドと5番ウッドの選び方を聞いてみた。

プロ、アマ問わず同じモデルを使う選手が少なくないスプーンとクリーク。筒は「フェアウェイウッドを一括りにする考え方と、そうでない考え方とクラブ設計の見地では両方あると考えた方が良いかと思います」と話す。

「例えば渋野日向子選手が使うPINGの『G410LST』フェアウェイウッドは、14.5度、つまり3番ウッドのみのラインナップです。機能軸で考えた場合に、5番以降はロースピンで強い弾道は求めているユーザーはおそらく少ないとみているのでしょうね。小祝選手の話に戻すと、ダンロップのクラブにはやさしくボールが上がる『ゼクシオ』と強い弾道が打てる『スリクソン』両方のラインナップが3番からありますから、両方のモデルを選択できる環境にあります。それを踏まえて、打ちたい弾道があり、それに合わせて異なるモデルを選ぶことはとても大事なことです」(筒)

用途によって3番と5番のモデルを変える。用途がはっきりしていれば難しいモデルを3番で使用するのも全然アリだというのが筒の考え。「小祝選手のように、ティショットやボールが浮いている良いライから飛距離を出す『フェアウェイウッド』の名前通りの使い方をするなら打出し角やスピンを抑えたモデルを選択するのもOKです」。逆に言えば『飛距離がなく、ラフからでも3番を使いたい』というゴルファーには別の選び方をするべきだとも。

「そういった方は、ちょっとマニアックになってしまいますが、フェース側からクラブを見てソールの『接地部分』をチェックしてみて下さい。ヒール部分が丸いソールなら、インパクト時に芝が絡まず抜けが良いです。またシャフトを真っ直ぐ立ててソールの奥行きと角度を見てみると、ソールには角度があることがわかります。奥に向かってせり上がった『ソール角』がついたモデルも、芝の抵抗が少ないモデルです」

大事なのは、ただただ同じモデル、同じメーカーのフェアウェイウッドを選ぶのではなく、どういう場面で使うのか、どういうタイプが合っているのかを把握すること。

「コースで使用するシチュエーションを想像して欲しいです。気に入ったドライバーと同じモデルの方が好きな方なら揃えることも否定しませんが、その名の通り『フェアウェイ』から使うのか、或いはラフからも使ってボールを上げたいのか等ある程度『番手毎の役割』を決めた方がモデルを絞り込みやすいと思います。古い・新しいに拘らず、構えた時の安心感やできれば実際の弾道も試打して見ることをオススメします。それを考えた結果、スプーンの方が難しいモデルとなるのは全然アリですよ!」

解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。