「冷戦時代に逆戻り」 長崎県内被爆者ら懸念

 トランプ米政権が中距離核戦力(INF)廃棄条約で規制されていた中距離ミサイルの発射実験をしたのを受け、長崎の被爆者からは「冷戦時代に逆戻りする」と懸念の声が上がった。
 9日の平和祈念式典で「平和への誓い」を読んだ被爆者の山脇佳朗さん(85)は「ロシアや中国も負けじとミサイル開発を進めるだろう」と軍拡競争を心配し、戦争被爆国の日本政府に歯止め役となるよう注文した。県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(79)は「緊迫感が増し、冷戦時代に逆戻りするようだ。一体誰が喜ぶのか」と憤った。
 米政府はアジアへの中距離ミサイル配備にも意欲を示す。吉田文彦・長崎大核兵器廃絶研究センター長は、INF条約破棄の主な狙いは対中国だと分析。米政府が貿易などさまざまな面で中国へ圧力をかける中で「『核』も絡めるのは極めて危険だ」と指摘した。

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