思い出のかき氷「白くま」に夢も乗せ 三崎に専門店開業

「ベイサイドかき氷カフェ ミックス ミサキのシロクマ」をオープンした山田智之さん(右)と久代さん

フルーツや小豆を乗せて練乳で仕上げる、鹿児島名物のかき氷「白くま」の専門店が17日、三浦市三崎の下町地区にオープンした。市内に移住した夫婦が、足しげく通った鹿児島県内の店が閉店したのを機に、思い出が詰まったスイーツを多くの人に食べてもらいたいと、記憶を頼りにレシピを再現、店まで構えた。2人は「白くまのおいしさを知ってもらえたら」と願っている。

 専門店「ベイサイドかき氷カフェ ミックス ミサキのシロクマ」を営業するのは山田智之さん(56)、久代さん(61)夫妻=同市三崎町諸磯。

 黄色と青色で塗装され、カントリーミュージックなどが流れる店内で、計8種の白くまを販売する。ふわふわのかき氷に、練乳ベースのシロップに、抹茶やコーヒー、ミックスベリーなどのシロップを合わせてかける。スイカ、メロン、小豆などをふんだんにトッピングした「ミサキのシロクマ」が看板メニューだ。

 夫妻にとって、白くまは思い出のスイーツだ。

 30年ほど前、久代さんの実家がある鹿児島県を訪れた際、智之さんは初めて食し、そのおいしさに衝撃を受けた。その後、久代さんの兄から紹介された喫茶店の白くまを気に入り、帰省するたび、足を運んだ。

 だが5年ほど前、喫茶店が閉店。聞けば、店主の体調不良が理由だった。思い出がたくさん詰まったスイーツが食べられなくなったことにショックを受け、そして思った。「この店の味を、いろいろな人に味わってもらいたい」

 2人は同じ時期に三浦市内に移住し、店の設計やデザインを手掛ける会社を経営していた。会社を続けながら、レシピを作り、物件探しにも奔走して、観光客が多く訪れる下町地区でのオープンにこぎ着けた。

 久代さんは「子どもの頃を思い出す味に仕上がった。いろいろな人に食べてもらいたい」と意気込む。「三崎のソウルフードとして、いつか定着したら」とは智之さん。さらに白くまが、市外に移住した若い世代や観光客を呼び込んで地域活性化の一翼を担ったり、地元で開業する移住者の後押しになったりする存在にまで成長すればと夢見ている。

 税抜きで500円~千円。8、9月の営業は午前11時半から午後6時半まで。定休日は第1・第3水曜で、10月以降は月ごとに変わる。問い合わせは同店電話046(815)6316。

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