危険なブロック塀

 ほっとしたのは今年春ごろだっただろうか。筆者の通勤ルート沿いにある民家のブロック塀が、金属製のフェンス塀に建て替えられていた▲ブロック塀は老朽化し、所々崩れ落ちて、内部のさびた鉄筋がむき出しになっていた。高さは1メートルぐらいだったが、大きな地震が起きたら倒れて、人や車の通行を阻害してしまうかもと心配していた▲昨年6月の大阪府北部地震では、小学校や民家のブロック塀が倒壊し、2人が巻き込まれて亡くなった。強度不足の塀の危険性は1978年の宮城県沖地震で知られるようになったが、学校では校舎や体育館の耐震化が優先されてきた▲大阪の地震後に実施された学校などの緊急点検では、全国の1万2千校以上で強度不足などの事例が見つかった。今年4月時点でも9434校で安全対策は完了していないらしい▲安全性に欠ける塀は民家をはじめ地域にも数多く存在している。県は建築基準法の規定や点検項目をまとめた「お宅のブロック塀は安全ですか?」をホームページに掲載。雲仙市や松浦市は塀の除却費を補助する支援事業を始め、建物の所有者らに対応を促している▲塀の高さは適正か、ひび割れや傾き、ぐらつきはないか。本来、防犯や防火に役立つはずの塀が凶器とならないよう、まずはしっかり点検を進めたい。(久)

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