プロゲーマー育成へ 長崎・メトロITビジネスカレッジ eスポーツ部設立、来春には学科開設

格闘ゲームで対戦するeスポーツ部の部員ら=長崎市出島町、メトロITビジネスカレッジ

 五輪競技の正式種目となる可能性が取り沙汰されるなど、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」が全国的に注目されている。こうした流れを受け、長崎県長崎市出島町の専門学校メトロITビジネスカレッジ(小濱孝行校長)は5月、eスポーツ部を設立。7月、全国都道府県対抗eスポーツ選手権「ウイニングイレブン」部門の県代表決定戦に挑んだ。惜しくも予選突破はならなかったが、同校はこの経験を生かし、来春、正式な学科としてeスポーツコースを開設、プロ選手の育成を目指す。

 ◆アピール

 同校のグループ会社、メトロ書店本店(長崎市尾上町)でこのほど開かれたeスポーツ体験会。店舗の一角に設けられたゲームコーナーには若い男性らが集まり、サッカーゲームなどを試した。学生の1人が見事にゴールを決めると、仲間内で大きな歓声が上がった。会場でプレーを見ていた小濱校長は「県内でeスポーツに興味を持っている若者はやはり多いようだ」と同コース開設に手応えを話す。

 ◆良い刺激

 現在、同校のeスポーツ部は、20歳前後の男性部員7人で構成。放課後や授業のない時間帯、部室に集まり「ウイニングイレブン」や格闘ゲーム「鉄拳」で対戦、腕前を磨いている。キャラクターを自在に動かす操作方法を覚えたり、サッカーゲームの戦術を組み立てたりするのが主な活動だ。
 部員の渡部柾輝(まさき)さん(18)は「ゲームを通じて人と交流するのが楽しく、学校に来る理由の一つとなった。上達しようと頑張っている部員を見ていると刺激になる」と話す。
 県代表決定戦に出場した須川慎之介さん(20)は「練習を重ねて臨んだが、結果が出せずに残念だった。それでも、本格的な大会に出たのは良い刺激となった」と述べた。

 ◆技術学ぶ

 同校によると、eスポーツコースは、あらゆる機器をネットにつなぐ「インターネット・オブ・シングス(IOT)」の教科の中に開設される予定。細かい授業内容は未定だが、プロゲーマーを講師に招き、競技に勝つためのテクニックなどを習得するほか、ゲームに使われている最先端のIT技術などについて学ぶという。
 懸念されるゲーム依存について小濱校長は「eスポーツのプレーヤーは腕前を上げるために、他者とコミュニケーションをとって技術や戦術を学び、判断力などをトレーニングしている。ゲーム漬けで引きこもっているイメージと実際は異なる」と強調する。その上で、「多くのプロゲーマーを輩出することで、eスポーツ界で長崎県の知名度を上げ、地域活性化につなげたい」と意欲を燃やす。

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