【MLB】菊池雄星はなぜ“復活”? 米記者が分析、初完封の要因となった「監督の苦言」

マリナーズ・菊池雄星【写真:Getty Images】

19日のブルージェイズ戦でメジャー初完封「断トツで最高の登板だった」

 マリナーズの菊池雄星投手が18日(日本時間19日)の敵地ブルージェイズ戦でメジャー初完封勝利を飾った。ルーキーシーズンで苦しんでいた左腕が“復活”した要因として、地元メディアはスコット・サービス監督の「苦言」があったと伝えている。

 菊池はブルージェイズ戦で圧倒的な投球を見せた。9回をわずか96球で投げきり、2安打8奪三振1四球に封じて今季5勝目。100球未満での完封は、名投手グレッグ・マダックスにちなんで「マダックス」と呼ばれるが、菊池は日本人投手として4人目のマダックス達成者となった。

 ただ、その試合の前までは25試合登板で4勝8敗、防御率5.56と苦しんでいた菊池。6月23日(同24日)の本拠地オリオールズ戦を最後に約2か月も白星から遠ざかっていた。いったいなぜ、菊池はこの試合で好投することができたのか。

 地元ラジオ局「710AM ESPN シアトル」(電子版)は「マリナーズのスコット・サービスは最近選手が応えた3つのことをした」とのタイトルで特集を掲載。ESPNシアトルのマイク・ソーク記者が「チーム全体のギアを上げる要因となった3つのこと」を挙げており、その1つとして「ユウセイ・キクチが公に苦言を呈された後に最高の登板を果たした」が登場している。

 記事では「26先発登板で防御率5.19とし、彼のメジャー1年目はここまで残念なものである」と指摘しつつ、「しかし、日曜日に彼はMLBで初めて完封勝利を果たし、能力を見せた。マリナーズ移籍後、断トツで最高の登板だった」と言及。あらためてブルージェイズ戦の投球を称えている。そして、「それはサービス監督が公に苦言を呈した後、キクチの初めての登板だった」と紹介。指揮官の厳しい言葉が菊池の好投を引き出したのではないかというのだ。

「監督が公に苦言を呈し、そして起こったことは?」

 サービス監督は、菊池について「ずっと言い続けているが、彼は成長のために苦しみ、学んでいるんだ。こうしたステップを経て、彼は学んでいる。もうこのことについて話したくない。我々が同じミスを繰り返し続けていたら、向上しない。そうなってはいけない」と話していたという。開幕から菊池を擁護し続けてきた指揮官の“苛立ち”も見えるコメントだ。ただ、ESPNシアトルのソーク記者は「キクチに対して公に苦言を呈することが最後の選択肢だという段階についに達していた」と考えているという。

「(サービス監督は)この若手投手のメジャー最初の4か月の投球、適応具合に満足していなかった。彼が公に苦言を呈し、そして起こったことは? キクチは(メジャーで)自身最高の投球をした。断トツで彼の最高の登板だった」

「このことについて、これがユウセイ・キクチに話した最初だと思うか? いいや、何か月も直接彼に話して理解させようとしていた後だろう。そして、ついに公に話すことが残された唯一の選択肢となる段階にまで達した」

 これまでも本人に直接「苦言」を呈することはあったはずだが、それをサービス監督が公の場で口にしたのは初めてだったと指摘。そして、これが“喝”になったというのだ。

 苦しみながらも前に進み、初完封を飾った菊池。これを“逆襲”のきっかけにしたい。(Full-Count編集部)

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