【スマホの向こう側 学校現場から】友だちと遊ぶのに便利さを求める時代

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グラウンドと運動靴

 先日、ある位置情報アプリをスマホに入れた。アプリを立ち上げると自分の居場所が分かる。と、ここまでは普通なのだが、その先がすごい。

 何と、そのアプリは教えていないのに、自宅と職場を当てたのである。地図上に示される自宅とビルのアイコン。なぜ、このアプリは分かったのだろう。

 おそらく、夜間に端末を長く置いている場所が自宅、昼間繰り返し足を運ぶ場所が職場と推測されるようだ。しかも、自分がよく行く場所とそうでない場所も地図上に色分けして示される。私がよく使う道路が、一目で分かる。

 住んでいる地域以外も見てみる。すると、他の都市にも家のアイコンがある。おやっと思って、詳しく地図上を見てみると「ここに1泊しました」と日付が出てくる。まるでアプリに監視されているようだ。

 このアプリが高校生の中ではやっている。先月、県内の高校生約250人が各校から集まってネット利用について討議をする場があった。実態は、参加した高校生の約半分がこのアプリを利用していた。彼らに、アプリについて詳しく聞いた。

 何と、友だちを登録するとその友だちからも自分の居場所が見えるらしい。しかも、その場所に何時間いるのかまで表示される。おまけに相手のスマホの充電が何%かまで分かるのである。

 登録した友だちごとに設定を変えることができるから、知られたくない友だちからは見えないようにもできるし、詳細ではなく曖昧な場所で知らせることもできる。とはいえ、このようなつながり方には違和感を覚える。

 ある男子高校生は、自分の居場所が分かると、遊びの誘いが来るから便利だと言っていた。

 熊本市内から遠く離れた地域に住む彼は、友だちに常に自分の居場所を知らせることで、自分が熊本市内に出てきたことが友だちに分かるからだ。「いちいち自分から、市内に出てきたことを知らせなくても良いし、向こうから連絡が来るので便利」と語った。

 ふと、自分の高校時代を思い出した。遊びに明け暮れた毎日であったが、どこで誰と何をして遊ぶかを計画するのが楽しかった。友だちから見つけてもらうのではなく、遊びたいと思う友だちを自分が選んでいた。

 相手がどこにいたっていい、相手のいる場所が問題ではなく、そいつと遊びたければ連絡して、お互いで会う場所を決めればいい。友だちと遊ぶのに便利さを求めなかった時代がちょっとだけ懐かしい。(熊本市教委総合支援課指導主事)       

(2019年8月22日付 熊本日日新聞朝刊掲載)