「ナガサキ 核戦争後の人生」刊行 56冊 市に寄贈

本に登場する被爆者の遺族 来月中に貸し出し開始へ

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田上市長に「ナガサキ」を手渡した岡田さん(左)=長崎市役所

 米作家スーザン・サザードさん(62)が長崎原爆を描いた本の邦訳版「ナガサキ 核戦争後の人生」(みすず書房)が7月に刊行されたのを受け、本に登場する被爆者の故・堂尾みね子さんの妹、岡田郁代さん(79)=長崎市岩屋町=が22日、同市に56冊(約23万円相当)を寄贈した。市立図書館や各公民館の図書室などに1冊ずつ置き、9月中に貸し出しが始まる予定。
 「ナガサキ」は、堂尾さん、故・谷口稜曄(すみてる)さんら5人の被爆者の証言を軸に、長崎の戦中戦後や原爆の非人道性などを描いている。2015年に米国で発刊され、大きな反響を呼んだ。
 堂尾さんは15歳の時に爆心地から1.3キロの三菱長崎兵器製作所大橋工場で被爆し、大けがを負った。後遺症に苦しみながらも、上京して化粧品会社で懸命に働き、管理職も務めた。帰郷後は語り部活動をした。07年に77歳で死去した。
 岡田さんは、今年が堂尾さんの十三回忌という節目でもあることから、本の寄贈を思い立ったという。市役所で田上富久市長に本を手渡し「長崎の皆さんや旅行者の人にも読んでほしい」と語った。田上市長は「広島に比べ長崎はあまり知られていない現実がある」として寄贈に感謝し、被爆の実相が広く伝わることを期待した。