県、待機児童解消へ 「潜在保育士」再就職を支援 9月末めどにシステム導入

長崎県内の待機児童数と保育施設の定員数(10月1日時点)

 希望しても認可保育所などに入れない待機児童数が長崎県内では329人(2018年10月1日現在)を数える。認可保育所の新設や定員増などで前年同期に比べ42人改善されたものの、保育士不足も深刻化し、解消に至っていないのが現状だ。10月に始まる幼児教育・保育の無償化に伴い、待機児童数がこれまで以上に拡大する可能性もあり、県は資格を持っていながら保育士の仕事に就いていない「潜在保育士」の再就職支援に力を入れる考えだ。
 県によると、329人の内訳は、長崎市が最多の145人。▽大村市134人▽壱岐市15人▽西彼時津町11人▽対馬市9人▽西彼長与町6人▽佐世保市5人▽東彼波佐見町4人-と続いた。こうした待機児童とは別に、特定の保育所への入所を希望しているなどの理由で、国の待機児童の定義に含まれない「隠れ待機児童」も一定数いる。長崎市の場合、19年4月時点で隠れ待機児童は193人に上るという。
 一方、県全体の保育施設の定員数は3万7651人。13年度に比べると5566人増えているが、共働き世帯の増加や入所要件の緩和などで入所希望者が増え、受け入れ態勢が追いついていない状況が続いている。
 人口が増えている大村市は、17年度に2715人だった定員数を19年度には3025人にまで増やして対応。20年度にはあと145人分増やす予定という。同市こども政策課は「定員数を増やしてもニーズに追いつかない。保育士も今年の段階で少なくとも20人は足りていない」と頭を抱え、「市内在住の潜在保育士の情報をもっと欲しい」と対応を求める。
 県によると、県内の潜在保育士は推計で5千~7千人。県保育士・保育所支援センターで潜在保育士を登録する「保育人材バンク」を運用し、ホームページ(HP)で情報を発信している。現在はインターネット上で煩雑な手続きを完結できるマッチングシステム(事業費約1300万円)を構築中で、9月末をめどに導入する方針。県こども未来課は「保育人材の育成と並行して、潜在保育士の掘り起こしを進めたい」としている。

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