書店ビジネス~復活のカギは1万円選書に推し作家!?~

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今週のけいナビのテーマは「書店」。
今年5月1日時点の北海道の書店数は550店と、20年前と比べるとほぼ半減(アルメディア調査)。背景には、出版不況があると言われている。紙の出版物の販売額は14年連続で減少する一方、電子市場は年々伸びている。(出版科学研究所調査)。こうした中で、生き残る書店のビジネスモデルを探る。

去年11月にオープンした「江別蔦屋書店」。
「ライフスタイルの提案」をコンセプトに「知」「食」「暮らし」の3つの棟で、約26万冊の本と雑貨などを販売するほか、飲食店も入居する大型複合書店だ。望月起一さんは「新しい興味関心のきっかけが本であることも多い。生活の提案において本は最強のツール」と語る。

客にとって居心地の良い空間づくりは欠かせない。店内にはたくさんの椅子が置かれていて、客は気に入った本を手に取ってじっくりと読むことができる。「本」を入り口とする蔦屋書店の戦略にとって、ライバルはネット書店だ。望月さんは「ここで本を買うことがかっこいい、おしゃれであるというような価値を演出したり、人が血の通った提案をしたりとかは、ネットでは代替できない価値だと思う」と話す。

そんな取り組みの一つがコンシェルジュ。絵本とワークスタイルを専門とする2人がいる。絵本を担当する佐賀のり子さんは長年、幼児教育に携わってきた。その場で読み聞かせをすることもある。今後、他のジャンルのコンシェルジュも徐々に増やしていきたい考えだ。
こうした取り組みもあり、オープンから9か月余りで、来店客数は平日で3,500人、週末は7,000人と、当初の見込み通りに推移している。

砂川市の「いわた書店」。2代目社長の岩田徹さんが取り組んでいるのは、「1万円選書」。読書歴や経歴などを記入してもらう「カルテ」をもとに、その人に合った1万円分の本を選んでいる。去年は、全国から7,700通もの応募があった。これまでの人生で苦しかったこと、うれしかったこと、何歳の時の自分が好きか...。こんな質問を、岩田さんはカルテで投げかける。

岩田さんは、1990年に店舗を改築。直後にバブルが崩壊し、綱渡りの経営を強いられる。そして2006年、1万円選書のきっかけとなる出来事が。高校の先輩に経営不振を相談した際、「1万円で面白い本を送ってくれ」と言われたのだと言う。岩田さんは「本屋は面白い本を並べず、売れそうな本を並べてたんだ」と気づいたと語る。

1万円選書はすぐにブレイクしたわけではなく、経営状態は厳しいまま。資金繰りに眠れない日々を送っていたという2014年、転機が訪れた。全国放送の深夜番組で「1万円選書」が紹介され、一気に注文が増えた。店頭の品ぞろえも、新刊にこだわらないなど、大きく変わった。岩田さんは選書をする相手には、最低でも4回メッセージを送る。本を発送するときは、選んだ理由を書いた手紙を同封する。こうしたきめ細かなコミュニケーションこそが、実は1万円選書のもっとも重要なポイントだという。今1万円選書は、売り上げの約4分の1を占めるまでに成長した。 

番組MCの杉村さんにも、1万円選書を体験してもらった。
カルテの記入では「何歳の時の自分が好きですか...断トツで、今の自分」などと答えた杉村さん。
普段は読まないという小説など13冊が贈られた。

札幌市豊平区の「かの書房」。今年3月にオープンした新刊書店だ。代表を務めるのは加納あすかさん。加納さんが自ら書店を開こうと考えたのは、勤めていた書店の閉店がきっかけだった。小規模の書店で働きたいと店を探したが見つからず、自ら開業した。書店員としての経験から、本の売り方にはまだ工夫の余地があるという。その一つが、本の並べ方。同じテーマなどに合わせ、ジャンルの垣根を越えて並べるなどの工夫を凝らす。

もう一つ、かの書房のユニークな取り組みが「推し作家」。加納さんが選んだ25人の作家をとことん応援していくという、作家と読者をつなぐ試みだ。推し作家のひとり、萩鵜(はぎう)アキさんは「ただ置かれてるという状況じゃなく、推してるから置かれてるんだよという安心感。かの書房さんを通してファンレターをもらい、SNSの感想よりも思いを感じた」と話す。

オープンから5か月余り。月の売り上げは約50万円と、経営を安定させるためにはまだまだ足りない。今後は、高齢者施設での出張販売や地方の町の図書館などに仕入れ先として使ってもらう、いわゆる外商開拓にも取り組んでいきたいという。さらに、先の「いわた書店」の岩田さんに許可をもらい「いちご選書」を始めるという。小学校高学年から大学生くらいまでの世代を対象に、1,500円分の選書をする。冬までにはスタートさせたい考えだ。

リアル店舗としての強みを生かす、書店ビジネス。

番組の最後は杉村太蔵さんの「薄口」コメント。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。
(2019年8月24日放送テレビ北海道「けいナビ」より)