『最強レスラー数珠つなぎ』刊行記念トークイベント「わたしは弱い人間です」開催!

『最強レスラー数珠つなぎ』(イースト・プレス刊)にて、「強さとはなにか?」を追い求めたライター・尾崎ムギ子。しかし、追い求めれば追い求めるほど、自分の弱さを目の当たりにし、単行本を出版してからは、さらなる闇に突入。酒と精神安定剤に依存する日々が続いている。そんな尾崎がいま、救いを求めるのは、4年前に記事を書いたインディー団体「ガンバレ☆プロレス」の大家健と今成夢人。リングの上で泣き叫ぶ彼らの“弱さ”と、観るたびに輝きを増していく“強さ”に、闇から抜け出すヒントが隠されている。

『最強レスラー数珠つなぎ』の刊行を記念したトークイベント「「わたしは弱い人間です」~ガンバレ☆プロレスへの手紙~」が2019年9月13日(金)新宿のロックカフェロフトにて開催される。著者の尾崎ムギ子の他に、大家健(ガンバレ☆プロレス代表)、今成夢人(ガンバレ☆プロレス、DDTプロレスリング映像班)が出演。前売り券はイープラスにて発売中。

尾崎ムギ子より

大家健様 今成夢人様

わたしは弱い人間です。そのことをイベントの前にお二人に知ってほしくて、手紙を書くことにしました。なぜ今回、お二人に出演のオファーをしたのかも。

不登校の基準をご存じでしょうか? 学校を年間30日以上欠席すると、「不登校」と見なされるんです。わたしは小学6年生のとき、年間50日余り、学校を休みました。いじめに遭っていたわけではありません。ただただ、「通学するのがめんどくさい」という理由で、学校へ行かなかったのです。いま思うとあの頃から、わたしは自分の弱さに打ち勝つことのできない人間でした。

そんなわたしにも、夢がありました。将来、文章を書く仕事がしたい。自分の本を出すことができたら、どんなにか素晴らしいことだろう! しかし人生、甘くはないですね。ライターを目指して脱サラしたものの、仕事にありつけず、アルバイトで日銭を稼ぐ日々が6年ほど続きました。徐々に仕事を貰えるようになってからは、思うような原稿が書けず、苦しみのあまり酒に溺れ、精神安定剤と睡眠薬を常用するようになりました。ボロボロでした。

救ってくれたのは、プロレスです。リングの上で、やられてもやられても立ち上がるレスラーたちの姿に、強く心打たれました。それからはプロレスの記事を書くのが楽しくてしかたなく、記事の評判も上々。連載を始め、単行本を出すこともできました。

「ライターになって、本を出す」という夢が叶った。しかし夢が叶ったら……なにも書けなくなってしまった。大好きなプロレスを観ても、記事を書きたいとは思わなくなりました。他に書きたいテーマも思い浮かびません。ライターをやめたい――。ふたたび、酒に依存するようになりました。飲んでは吐き、飲んでは吐き、それでも飲み続けなければ、自分を保てない。自分の心の弱さに辟易する日々です。

連載を通して、わたしは“強さとはなにか?”を追求しようとしました。続けるにつれ、自分も強くなっていくような感覚も覚えました。しかしそうではなかった。不登校児だった小学生の自分が、言うんです。「わたしは大人になっても、ちっとも変わらないんだね」――。

連載中、今成さんはわたしに言いましたね。「強いレスラーばかり取材して、プロレスのなんたるかをわかっていない」。プロレスのなんたるかとは、なんなのでしょうか。強さとは、なんなのでしょうか。

大家さん、今成さん。わたしはお二人にシンパシーを感じていました。わたしと同じように、弱い人間に違いないと。お二人がガンバレ☆プロレスのリングで流す涙と遠吠えは、弱さの表れそのものだと。しかし、違った。あなたたちは、弱さを強さに変えている。だからこそ、ガンプロの試合は観る者の魂を揺さぶる。いまはそう思っています。

お二人の弱さを聞かせてください。そして、どうすれば強くなれるのかを。

尾崎ムギ子

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