0.2号の極細ラインでシーバス50up!(動画あり)やりとり次第で化けるアジングタックルの可能性。家邊克己【サーティフォー】

アジングのタックルは、ライトゲームタックルにカテゴライズされるように、小型魚を狙うのに特化したシステムだというのが常識だが、達人・家邊克己さんはこう言い放つ。「そんなことないですよ。大きい魚だって無理なくキャッチできますって。それにワームが小さいでしょ、釣れますよ。大きい魚が(笑)。なんでも大きくしすぎなんですって(笑)」

80cmを超えるヒラスズキを0.25号でキャッチですと!? まずは、家邊さんのファイト術に注目

<profile>家邊克己(やべかつみ)。アジングをはじめとしたライトルアーゲームシーンを引っ張るパイオニア的メーカー「サーティフォー」代表。様々な釣りに精通するアングラーでもある。陸っぱりのアジングはもとより、最近はボートアジングゲームの可能性、ライトタックルで狙うグルーパーなどにも注目し、同じ場所に止まらず代表自ら進化を続けている。徹底した現場主義を標榜し、その物作りの拘りは各アイテムに生きている。

家邊「うーん、83cmだったかな、84cmだったかな。ヒラスズキをアジングロッドでキャッチしたことありますけど、別に無理やりではなかったですよ。それぐらいなら、全然なんとかなります」

え? 防波堤とか遮蔽物のないところでですか?

家邊「いやいや、ゴリゴリの磯ですよ(笑)ラインは0.25号のPEですけどね。もっと大きいのも掛けたことありますけど、それは獲れなかった(笑)」

0.25号??? え、ぇえええ!

家邊「全然大丈夫ですって。よくパワーゲームと言われるグルーパーも、50cmくらいなら全然、苦労せずランディングできますよ」

いや、グルーパーってボトム、場合によっては中層からルアーめがけてバイトしてきて、反転!そして全力で根だの障害物だのに戻っていく魚ですよね。トルクフルで、相当パワーのあるロッドでも持っていかれるくらいのファイトをしますよね。華奢なアジングロッドではひとたまりも無い気がしますけども....。

家邊「それは、そういうタックルでやるからです。そもそも何で痛覚のない魚たちが、フックが刺さったぐらいでファイトするんですか? フックが刺さってラインが張られて、ロッドのパワーがあって、その違和感に抵抗しているわけですよね。じゃ、違和感がなければどうなります? そして、もうひとつ、なんで魚は引くんですか? 逃げていく進行方向が釣り人と逆になるからですよね」

それは、理屈ですが....。

家邊「なので、違和感をなるべく与えないファイトをすることと、魚の泳ぐ向きをコントロールすれば、細いラインであっても負荷はかからないので、無理なくランディングできるということなんですよ。ある意味、ライトタックルはそういったコントロールに向いているんですよ。あともう一つ、大事なヒントとキモを教えますよ。というか常識です」

なんでしょうか。

家邊「魚はバックして泳げないんですよ(笑)特殊なやつ意外は」

そ、そうですけど。

家邊「ということは、ぐりぐりとリールでラインを巻いている方向に魚が向いていたらどうなりますか? つまり釣り人に魚が向いていたら?

理屈では抵抗はありませんね。ラインを回収するだけですから。でもさすがに机上の空論じゃありません? いや、例えば話を巻き戻します。アカハタみたいなグルーパーは底に潜んでいてルアーを見つけてバイトして、一気に根に戻りますよね。それをライトタックルで止めれるものでしょうか。

家邊「アカハタやオオモンハタはそもそも釣り分けられる魚なんですが、じゃあ、アカハタの具体的な釣り方を教えましょうか。アプローチしたルアーをボトムからそうですね、最低100cm上で誘ってください。ちなみに、アジ用のジグヘッドやワームならそれが余裕でできます。アカハタがそれを見つけて喰いますよね。そしたらすぐにロッドのテンションを抜きます。ロッドを倒してもいいですし、ラインテンションをフリーにしてもいいでしょう。一気に違和感から解放します

む、難しいこといってませんか?

家邊「大丈夫ですよ。できますから(笑)そうしたら、ほとんど30cmほど突っ込んで止まります。あとは、魚の向きをじわーっと繊細なライトタックルの特性を生かして釣り人に向けてやってください。そしてゴリ巻きすればいいんですよ(笑)あ、40cmぐらいのサイズならPEでなくてもなんとかなります。リーダーは1.2号以上は必要ですが、メインラインはエステルでもなんとかなりますよ。

ルアーの方は馴染みがないかもしれませんが沖磯のフカセ釣りなんかでは、比較的ポピュラーに使われるテクニックなんですよ。フックだって、ちゃんと懐に貫通すればバーブレスであろうと、なかろうとテンション抜いても外れませんから」

いやぁ、さすがに家邊さんの話といえど、にわかには.....。確かに根に入られたら一か八かテンションをフリーにしてみたいな釣りはされる方も多いですけど....。

家邊「しょうがないですね。今回の取材、グルーパーはいない場所ですが、幸か不幸かメインターゲットのアジがいなくて、良型のシーバスが防波堤にいますね(笑)。とりあえず0.2号のエステルラインが今はセットされてますから、それで50cm以上のシーバスを狙ってみますね。グルーパーほどトルクフルではないにせよ、苦労せずに釣れれば納得してもらえますか? 70cmクラスくらいは狙いたいけど......さすがに70cmは時間かかるかもしれません(笑)」

そういって、しぶしぶアジからターゲットを急遽変更。シーバスを狙い始めた家邊さん。

家邊「申し訳ないですけど、魚が浮かして、誰でもランディング可能ということろまではファイトしますので、ランディングはよろしくおねがいします。私、シーバス触れないので」

そうなんです、家邊さん、釣り好きなんですが魚がサワレナイ人。釣り人として、それはけしからんとかその手のツッコミは無しで....。大昔から有名な逸話ですので.....。あ、でもメインターゲットのアジとメバルは触ってませんでした?

家邊「それは流石に訓練しました(笑)」

与太話はこれくらいにして、では、その0.2号のエステルライン、小さなアジングフックとワーム。繊細なアジングロッドで、さくっとシーバスを仕留めてください!

30cmクラスは連発、即ランディング。そしてついに50cmオーバーがヒット!

家邊「うぅん、ちょっと小さいの釣り過ぎてスレてきたかな...。ワームの色ぐらい変えた方がいいかもしれないですね」

にしても、連続して掛かりますね。全然スレないじゃ無いですか。2桁はいってないですが、ほぼポイントを変えずに爆釣ペースですね....。

小型のシーバスは入れ食い。アジングワームつよし! なかなかスレないのだ。魚影は濃いとはいえ同じポイントで立て続けに釣れる!「小さいワームだからですよ」

家邊「いま、ここのシーバスはプランクトンを捕食してるんですよね。その手のシーバスは、アジングのワームって小さいですし、そうそうスレないです。で、ほら、よく喰うでしょ。グルーパーとかも同じなんですよ。ワームが小さいと魚が見つけてくれないし、ボリュームがないとなんて思われがちですが、実は小さいワームのほうが喰います。なので良く釣れる。

あと、みなさんが狙わない足元に魚って結構います。足元の魚はアジングロッドの繊細さとアジングワームのサイズのルアーが、本当に効きます。最近は釣り人が多くなって、グルーパーゲームも流行り始めたことから、遠投できる距離の魚は減ってるし、釣りにくくなってるんですが、足元はまだ残ってますから(笑)。アジングのタックルだと喰ってくる。でも、アジングタックルはパワーも無いし、使用するのも細い糸だし、掛けてもキャッチできないと諦めている人も多いと思います」

つまり、家邊さんはライトタックルや細い糸でも無理なく釣れると提唱されるわけですね。ライトタックルの汎用性は思っているより広いぞと。

失礼ながら聞いてみる。アジング用のフックでは大型相手には強度不足ではないですか?特にサーティフォーさんの繊細なフックはそれが怖いのですが? 家邊「ちゃんと懐(ふところ)までフックが刺されば、関係ないですよ。ちゃんと刺さってないから折れるんです(笑)」

家邊「はい、ライトタックであろうとなんであろうと、ファイトの仕方です。細かいテクニックはたくさんありますが、さっき言ったことをとりあえず頭に入れてやりとりしてみてください。違和感を殺して魚の向きを釣り人に向ける。その技術が身につけば、ライトタックルの可能性が広がりますよ」

ドラグの基本を忘れるな! 遠く=強く 近く=弱く

家邊「あと、これはライトゲームに限らずですがドラグの使い方を間違えている人が多い。

ドラグは釣り人より遠い位置に魚がいてファイトするときは強くする。魚が寄ってきたら弱くするんです(笑)基本中の基本ですからね。ときどき、手前に来たら走られないようにドラグを締める人がいるでしょ。それだとブレイクしますからね!近くに来たらドラグは弱めるんです(笑)」

さて、そんなレクチャーをしていたら、待望の良型シーバスがヒット。家邊さん。では、さくっとそれ、0.2号で仕留めてくださいよ! 以下、動画でごらんあれ!

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