タモリも愛した高低差エリア、森ビル“新ヒルズ”予定地を歩く

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不動産大手の森ビルが8月22日、東京都港区で約30年かけて進めてきた再開発計画「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の詳細を発表しました。メインのタワーの高さは約330メートルで、完成予定の2023年3月末時点で大阪市の「あべのハルカス」(300メートル)を抜いて日本一となります。

開発計画区域は、虎ノ門5丁目、麻布台1丁目、六本木3丁目の約8万1,000平方メートル。すぐ東側には東京タワーがそびえ立ちます。再開発で姿を変えつつあるエリアの周辺を歩きました。


「ブラタモリ」でも訪れていたエリア

「スケールとインパクトは六本木ヒルズに匹敵する」という虎ノ門・麻布台プロジェクト。延床面積は約86万平方メートル、オフィス貸室面積21万3,900平方メートル、住戸数約1,400戸。就業者数約2万人、居住者数約3,500人、年間来街者数は約2,500万〜3,000万人に上る予定です。

森ビルが戦略エリアとする港区は、外資系企業や外国人居住者が多い場所。実際、同社のオフィスのテナントの半数以上を外資系企業が占めるといいます。今回のプロジェクトでは、外国人の暮らしやすい環境を整備するため、都心最大級のインターナショナルスクールの誘致を予定。開発によって地域の雰囲気は大きく変わりそうです。

森ビル 発表資料より

国土交通省の発表資料によると、同プロジェクトでは街区再編に伴う大規模土地利用転換により、木造建物が密集した状態を解消するとともに、人工地盤などの整備による地形の高低差の解消などを行います。このエリアは高台と谷地が入り組んだ高低差の大きい地形で、木造住宅やビルが密集。建物の老朽化も進んでいたといいます。

開発計画区域の麻布台一丁目には、我善坊谷(がぜんぼうだに)と呼ばれる窪地が東西に広がっています。2010年放送の「ブラタモリ」で六本木を特集した回で、タモリさんが専門家と一緒に歩いた谷もこの辺り。江戸時代の名残の「クランクした道」を観察したり、書家・吉田苞竹の旧家や土蔵を訪れたりしていました。

約330メートルのタワー予定地を見に行く

東京メトロ日比谷線・神谷町駅から南北線・六本木一丁目駅の方へと続く細道がありますが、訪れてみると封鎖中。我善坊谷は工事中のため、入れないようです。計画では幅員12メートルの東西道路が作られる予定で、地下道で両駅間を結ぶ歩行者道路も整備されることになっています。

桜田通りを南へ歩いていくと、再開発の影響なのか、中華料理店の移転を知らせる張り紙がありました。交差点を曲がり外苑東通りを進むと見えてきたのが、約330メートルのメインタワーが建設される「A街区」と呼ばれるエリアです。

この敷地にあった「日本郵政グループ飯倉ビル」はすでに解体済みで、巨大な油圧ショベルが地面を掘削し、産業廃棄物を運搬するトラックが出入りしています。背景にはアークヒルズ仙石山森タワーなど、高層ビルが立ち並んでいます。

道路を挟んで向かいにあるのは、在日ロシア連邦大使館です。警察官が何人も配備される物々しい雰囲気で、開発エリアの景色を写真撮影していただけでも、何の目的なのかと声をかけられました。

窪地だけど、今回も「ヒルズ」に?

森ビルによると、今回の建築計画ではタワーやビルを配置して残った空間を広場や緑地にするような、建物中心のアプローチをしていないといいます。人の流れや人が集まる場所を考え、街の中心に広場を配置し、3棟の超高層タワーを融合させる方法を採用。高低差のある地形を生かして、低層部の屋上を含む敷地全体を緑化するとしています。

アークヒルズ仙石山森タワー側の台地から、工事の進む開発計画区域を眺めると、辺り一帯が窪地であることがよくわかります。高低差が約20メートルあるのです。

カシミール3Dの地理院地図+スーパー地形で表示。麻布台のところが窪地になっています

ブラタモリではタモリさんが六本木ヒルズについて、「かなり段差のある窪地なんです。埋め立ててなだらかにしてますからね。本当は窪地なのにヒルズとつける。なかなかうまい」と意味ありげな表情を浮かべていましたが、虎ノ門・麻布台プロジェクトの正式名称はどうなるのでしょうか。

8月22日の会見では、同プロジェクトを「ヒルズの未来形」と表現しているものの名前は未決定。2023年3月の竣工までに「~ヒルズ」など既存施設の名称を踏まえて検討しているとしています。

アークヒルズに隣接し、六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズの中間にあるため、「既存のヒルズと連携・融合することで、都心部に新たな文化・経済圏を創出する」と壮大な構想を掲げる同プロジェクト。狙い通りに外国人を呼び込み、周囲のヒルズとの相乗効果を生み出せるでしょうか。