分断しないアプローチを 憲法改正は、虚心坦懐な姿勢で 小泉氏単独インタビュー

インタビューに答える小泉氏

 今月末に議員活動10年を迎え、将来の首相候補としても注目される自民党の小泉進次郎衆院議員(11区)が、24日までに神奈川新聞社の単独インタビューに応じた。憲法改正を巡り、「(社会を)分断しないアプローチを取ることが大事。1人でも多くの方に理解をしてもらえる努力を尽くすことが必要だ」との認識を示した。今後の日米同盟の在り方については、米国の変化を直視すべきとし、「同盟を揺るぎないものにする絶え間ない努力が今まで以上に求められるし、日本ができることをやっていくべきだ」と強調した。

 小泉氏は、東日本大震災の被災地で復興に向けた再開発の際、憲法で定められた私有財産の保護が壁となったことを例に挙げ、「戦後1回も憲法改正をしていないのは、不利益の方が大きい。国民的な議論を広げていかないといけない」と指摘。「野党の中には憲法改正に乗り気なところがある。どういう進め方なら野党が乗れるか、虚心坦懐(たんかい)に聞いてみたらいい」と語った。

 日米同盟を巡っては、トランプ米大統領が日米安全保障条約を片務的として不満を表明している。小泉氏は「今まで以上に同盟の意味を考えないといけない。現実的な選択肢として日米同盟に代わるより良い同盟はない」と述べた。

 党の厚生労働部会長として取り組んでいる社会保障改革については、3年前から党内の若手議員とともに議論してきた内容が、今年6月に政府が閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込まれたことを説明。公的年金の受給開始年齢について70歳超への繰り下げを選択可能にする改正や、一定の勤労収入がある人の年金を減らす在職老齢年金制度が廃止の方向で検討されていることを「大きな一歩」と歓迎した。年金改革が来年の通常国会に向けての焦点になるとの見通しを示し、「一つ一つ、大きな地殻変動のように動きつつある。しっかりいい形になるよう取り組みたい」と意欲を見せた。

 次の首相にふさわしいのは誰かを尋ねた共同通信社の直近の世論調査によると、小泉氏はトップだった安倍晋三首相に僅差で迫る2位だった。

◆日米同盟の重要性不変 一問一答

 小泉進次郎衆院議員のインタビューの主なやりとりは次の通り。

 -改憲を巡る国民の意見は割れている。

 「さまざまな声があるのは当然だ。与野党がどういう論点だったら憲法改正に合意できるのか、(社会を)分断しないアプローチを取ることが大事だ」

 -安倍政権下での憲法改正は難しいのでは。

 「野党の皆さんにどういう進め方なら乗れますかと、虚心坦懐(たんかい)に聞いてみたらいい。丁寧に丁寧にやれば、必ずそのときは来る」

 -今後の原発やエネルギー政策はどうあるべきか。

 「どうやって原発を残せるかではなく、どうやったらなくてもやっていけるかを考える必要がある。詳細まで詰めるのは政治家だけではできない。英知を結集して考える必要がある」

 -トランプ米大統領が日米安保条約に不満を表明するなど、日米同盟の在り方が焦点になっている。

 「今まで以上に、同盟の意味を考えないといけない。日米同盟の重要性は変わらないが、大事なポイントは、米国が変わってきていること。そのことに決して目をそらすことなく、自国の利益のために自分たちの国でできることはやる。私は当然のことだと思う」

 -日韓関係の悪化が懸念されている。

 「世界中で内政の声が外交を大きく揺るがしている。外交のハンドリングの難易度は極めて高くなっている。だからこそ政治家が対立や危機、分断をあおることに乗ってはいけない」

 -初当選から10年。将来、総理総裁を目指すか。

 「出番がないんじゃないか。私は人口が減っても豊かさ、活力を失わない国をつくりたい。そのために最も必要なのはスピード感のある変化だが、今、内閣府の世論調査で現在の生活について『満足』と答える人は過去最高。変化を求める小泉進次郎の思いと、国民の声とがマッチしなければ、出番すらない」

 「ただ、この前の参院選で、新勢力(れいわ新選組とNHKから国民を守る党)の熱量は間違いなく高かった。自民党が十分に聞けていない声を放置していたら、社会の分断は広がる。それに真剣に向き合わなければいけないし、変化の必要性を訴え続けたい」

 -今後の10年、何に取り組むか。

 「まずは、今まで手掛けてきたことを実現し、国民の皆さんに届けていく。その一つが年金改革。国会改革も同じ。同時に、(自身の)結婚によって今後の政治活動の中で新たに取り組む分野が出てくるのは間違いない。一人一人の多様な生き方、働き方がかなうような社会をつくっていく」

 (インタビューは15日に実施)

© 株式会社神奈川新聞社