【U-18W杯】悲願の世界一へ、木製バットにどう対応? 侍戦士たちが語る対策と手応え

侍ジャパンU-18代表に選出されている桐蔭学園・森敬斗【写真:Getty Images】

1番&3番を任された桐蔭学園・森、バット折られるも次の打席で習得

 30日から韓国・機張(きじゃん)で行われる「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に参加する高校日本代表は24日に都内のグラウンドで駒澤大学とダブルヘッダーを行った。1試合目は8安打を放ち、5-0で勝利。2試合目は5安打で3-4と僅差で敗れた。金属から木製に持ち替えて戦う国際大会。バットへの対応が最大の課題となることは周知の事実だ。今大会の打線の中心打者となりそうな選手たちは、どのように対応したかを聞いた。

 第1戦はリードオフマン、第2戦は3番打者として出場した桐蔭学園・森敬斗内野手(3年)。夏の甲子園には出場していないが、走攻守の3部門でハイレベルで打撃センスは高い左打者だ。注目の初回の第1打席。鈍い音と同時にボールは一塁へ転がった。バットをへし折られるボテボテのゴロに仕留められた。

 木製バットに苦手意識はなかった。しかし、これまでの打撃練習と大学生の球質は全く違った。森は力加減とタイミングが合わなかったと悟った。

「1打席目、それも最初の試合ということで、力が入ってしまいました。ボールが見えなくて、“なんか、変だな”という感じがありました。なので、『強引に行こう!』という気持ちになって、インコースに対して、“グッ”と行ってしまいました。それでバットの根っこに当たって、折れてしまった」

 初実戦という特別な緊張感から、自分が心掛けていたことを忘れてしまった。凡退から森はすぐに修正に入った。

 4回の第2打席では芯でとらえて、右前へのクリーンヒット。盗塁も決めて、得点機を演出した。持ち味を発揮した場面だった。

「打席では力感を無くすような感じで入りました。力が入るとバットは出ない。2打席目に関しては、下半身だけで打つような形、楽に打つような感じにしてボールを待ったら、よく見えるようになりました。続けていきたいです」

今大会4番最有力の東邦・石川、作新学院監督・小針代表コーチに助言仰ぐ

 今大会の4番候補となる東邦・石川昂弥内野手(3年)は2試合とも4番に座った。初戦でもヒットを放ち、2戦目では右翼線二塁打もマークした。うまく順応しているように見えた。

 石川も夏の甲子園に出場していなかったため、木製バットで打ち込んできた。

「当たり前ですけど、芯に当たらないと飛ばないと思いました。(作新学院監督で侍ジャパンの)小針(崇宏)コーチから『結果はいいから、インパクトで100%の力を出せるように』と言われました。インパクトで100なので、構えている時の(力感は)ゼロのつもりです。そうすると、低めの変化球を見極められるようにもなりました」

 森と同様に、力感なく構えることで、視界にも好影響が出ている。木製マスターへのヒントが隠されているのかもしれない。

 初戦の3番に座った花咲徳栄の韮澤雄也内野手(3年)は4打数2安打1打点。プロのスカウトの評価も高い打撃センスを披露した。永田裕治監督も「今から1週間で劇的に変わることはないので、強く振る、ということを伝えています」と木製バットの対応について話したように、韮澤も強いスイングを心掛けた。

「金属バットでは“ちょこん”と当てれば抜けていくという打球が、木製になるとないので、そこは今日、意識しました。あとは、とにかく体を開かないこと。そこで一気に力を貯める。(花咲徳栄の)岩井監督からも練習で『体は開くな、開くと(力が)逃げてしまうし、打球も切れてしまう』と言われてきました」

 初戦の6回1死二塁から右翼へ放った適時二塁打は体を開かずに強いスイングで放った一打だった。他にも東邦の熊田任洋内野手(3年)や東海大相模の遠藤成内野手(3年)らも木製バットへの順応はうかがえた。指揮官が思うように、劇的に変化を見せることはないが、過去にもU18の大会では、ちょっとしたコツで感覚をつかむことも多い。チーム内のコミニュケーションも生かして、課題を打破していってほしい。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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