ラグビーW杯を楽しもう(2)そもそも、なぜ長崎は盛ん? スクールが「熱」を下支え

長崎招待ラグビーの小学新人戦決勝で熱戦を繰り広げる選手たち=2019年4月21日、長崎市総合運動公園かきどまり陸上競技場

 9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)。長崎県内で試合は開かれないが、長崎市はスコットランド代表チームの事前・公認キャンプ地となっており、おもてなしの準備を進めている。本番を前に、ふと考えた。ラグビーのルールはよく分からないけど、W杯って楽しめるの? そもそも、なぜ長崎はラグビーが盛んなの?

 キャンプ誘致の際、アピールポイントになったのが長崎の「ラグビー熱」だ。日本ラグビー協会の調査によると、長崎県は人口に対する協会登録者の割合が全国で7番目(2015年3月時点)に多いという。

 なぜ、ラグビーが盛んなのか。「長崎県スポーツ史」によると、長崎県で初めてのラグビーの試合は1927(昭和2)年12月4日、長崎市であった「三菱-長崎高商」戦。戦後にチームが次々と誕生し、69(昭和44)年の長崎国体では総合優勝に輝いた。この国体以降、競技の裾野を広げようと、若手指導者が小中学生を対象にしたスクールを各地に設立していったと記されている。

 このスクールの存在がラグビー熱を下支えしているようだ。現在は県内各地で10のスクールが活動。スクールで育った選手が高校、大学で活躍し、社会人になってからスクールや学校に指導者として戻り恩返しするという“地産地消”の好循環ができている。

 キャンプ誘致の舞台裏に、長崎県ラグビー界を物語るような出来事があった。2015年12月、来崎するスコットランドのラグビー協会幹部を長崎空港で出迎えることになった。県協会の関係者が近隣スクールに呼び掛けたところ、誘致する長崎だけでなく、諫早、大村からも集結。200人近い子どもや保護者が出迎え、幹部たちを感激させたという。

 また、熱さの背景には、世代や学校間など垣根を越えた「オール長崎」の意識の浸透もあるようだ。

 県協会では1986年から毎年、スクールや高校など全ての年代の指導者を一堂に集めた研修会を実施。指導者間の一体感を育んでいる。選手たちに「オール長崎」を強く意識させる一役を担ってきたのは、77年に始まった「長崎招待ラグビー」。当初は県外の強豪チームと県内の社会人代表との対戦だけだったが、今は中学、高校選抜チームの試合も行うようになった。

 長崎県では中学、高校、招待ラグビー時に結成される大学・社会人による「長崎ドリーム」など、選抜チームのジャージーが全てグリーンで統一されている。同協会の松本浩理事長は「県外に出たトップ選手も『グリーン』に愛着を持ち、地元に戻ってきてくれる。勝敗にこだわらず、ラグビーの楽しさを教えることに力を入れてきたスクールをはじめ、歴代の関係者が積み上げてきた成果でしょう」と長崎ラグビーの熱が冷めない理由を語った。

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