ZIGGY、力強い歌で、ポリープ切除手術からの復帰第1弾ライブを成功!

森重樹一、そして ZIGGY が帰ってきた! 昨年末に声帯ポリープが見つかり、その切除手術を春のツアー終了後に行なった森重樹一。 手術は無事終了し、その後、ニュー・シングルの制作に入っていたことも本人のブログでも明らかになっていたが、ZIGGY が ファンの前に姿を現わすのは、術後初だ(なお、森重個人としては 8 月 14 日にはカヴァー・セッション・イヴェントで新横 浜ニュー・サイドビーチでライヴを行なっている)。

春のツアーの最終公演から数えると、期間だけでみれば 3 ヵ月だが、ファンにとっては長い 3 ヵ月間だったと思われる。そんな、まさに“待望”のステージが 8 月 24 日に東京・八王子オリンパスホールで行なわれた。

その復帰第 1 弾ライヴの模様をお伝えしよう。......とその前に、この日のリハーサルで印象的なシーンがあったので軽く記しておきたい。 通常のリハーサルでは、当日演奏する曲をプレイしつつ、バンド・サウンドのバランスやプレイの細かな調整を確認するが、 そうしたことも行ないつつ、ドラム・ソロ〜ベース・ソロのリハーサルも行なわれたのだ。 それも、森重がリハーサルの残り時間をスタッフに確認して「ソロ(のリハ)をやっとく?」と提案したもの。 そうしたちょっとした一瞬の空気感からも ZIGGY が森重のソロ・ユニットではなく、5 人のバンドとしていい状態であること が感じられた。

また、リハーサル自体は、1 時間以上行なわれ、この日のセット・リストの中から 10 曲以上がプレイされたであろうか。 そのリハーサルにも全力で臨むメンバー達。本番前にすでに汗びっしょりになっていた姿も心に残った。

そして迎えた、ライヴ本番。

オープニング SE の「威風堂々」に導かれ、メンバーが登場。CHARGEEEEEE...(ds)がステージ中央で“帰ってきたぜ、ZIGGY!!” と叫び、会場のテンションを一気に引き上げる。そのテンションのまま「EASTSIDE WESTSIDE」、「ROCK SHOW」、「ヒカリノアメ(hyper punk ver.)」というアッパーな 3 曲を立て続けに披露!!その歌いっぷりからは、ポリープ切除手術の影響を感じることはない。 森重らしい、“ややハスキーでロックな声”は健在だし、ステージングを含めて、むしろパワフルになった印象さえ受ける。

「銀のパレット」を終えての 2 回目の MC では、八王子ネタや森重の生まれ故郷である三多摩ネタを絡める。 そして、“ロックン・ロール、聴きたいか?”という森重の言葉に続き、懐かしい「PASSION RED のおまえを抱いて」がプレイ される。さらに、ファースト・アルバム『ZIGGY〜IN WITH THE TIMES』から「I WANT YOUR LOVE」など 3 曲が演奏さ れた。

ファースト・アルバムが発表されたのは 30 年も前になるが、今の ZIGGY の手にかかると 30 年前の楽曲が今のタフさやトー ンを伴って“2019 年のロックン・ロール”として響きわたっていく。また、MC ではその『ZIGGY〜IN WITH THE TIMES』のリレコーディング作の歌入れを明後日(8 月 26 日)に行なうこと、 そしてそのファースト・アルバムが当時国立市に住んでいた森重にとって、その思い出も含めて“三多摩くさいアルバム”だと いうことが語られた。その MC の流れで届けられたのは「BIRDS ON STRINGS」。森重がアコースティック・ギターを手に歌い上げるバラードは前 半のハイライトの 1 つであっただろう。

“Ladies & Gentlemen, Mr. CHARGEEEEEE...!”という森重のシャウトに続いて、ドラム・ソロへ。 派手なルックスと派手なアクションでドラムを叩きまくる CHARGEEEEEE...。そして、CHARGEEEEEE...が“相方”と言う Toshi(b)をステージに呼び込み、ベース・ソロ・タイムへ。ZIGGY ではピック弾きと指弾きを交えたグルーヴィなプレイでライブを支える Toshi だが、このソロ・タイムではスラップや タッピングも見せ、驚かせてくれる。リズム隊でのソロ終盤での CHARGEEEEEE...が叫んだ“これが今の ZIGGY のリズム隊だぜ!”という言葉には強い自信も感じ られた。

後半は、再始動後の楽曲を中心に組まれたこともあり、今の ZIGGY をより強く印象付けることになったのではないだろうか。 ステージを左右に動き、拳を振り、全身で盛り上げていく森重、着実でいて個性も感じるプレイとコーラスで大活躍するカト ウタロウ(g)、そのカトウタロウとともにフレーズと多彩な音色で ZIGGY のロックン・ロールを彩っていく佐藤達哉(key)、 そして Toshi と CHARGEEEEEE...のリズム隊。バンドならではの一体感、ZIGGY ならではの世界観が繰り広げられていく。

「踊らされたくないのなら」を終えての MC では、ニュー・アルバムの曲作りを進めて、日本全国にもっともっとロックン・ ロールを伝えていきたいと語ってくれた森重。その決意表明に続いて、アコースティック・ギターを手にバラードの「君の笑 顔より美しい花を知らない」を届けてくれた。レポート冒頭ではポリープ切除手術の影響を感じさせないと記したが、最後の サビのハイ・トーンの伸びを聴いた時、手術がいい結果に結びついたなと感じられた。また、この楽曲はリリースから 1 年半ぐらいだが、すでに ZIGGY の代表曲と呼んでも差し支えないほどにファンに浸透して いるのではないだろうか? そして、そのことは ZIGGY が自身の過去の名曲に頼ることのない、現在進行形で名曲を生み続 けているバンドである証しにもなっていると思う。本編最後はアルバム『ROCK SHOW』収録の「WONDERFUL FEELING」からシングル「ヒカリノアメ」収録の「MELODY」 という流れ。これは、今年春のツアーの最終公演だった 5 月 24 日の Zepp DiverCity Tokyo の本編最後と同じだったのだが、ここにも最新の ZIGGY が最高であるという自負が表われているように感じられた。

アンコールでは、まずニュー・シングル「I STAY FREE FORVER」の話に触れ、森重は表題曲は「ここから消え失せろ」にし たかったが歌詞で“f××k”を連発しているからムリということになったと語り、軽く笑いを誘う。 その話からてっきりニュー・シングルがプレイされるのかと思いきや、流れてきたのは「君のままでいいから」だった。 うんうん、新曲は 10 月 9 日まで楽しみに待っておこう。 そして、「君のままでいいから」を聴いているとグイグイと曲に引き込まれ、カトウタロウのソロ・フレーズも含めてアンコー ルでこの曲を聴けてよかったなと思わせてくれた。

2 度目のアンコールでは CHARGEEEEEE...のツー・バスで疾走感を煽る「TEENAGE LUST」から代表曲中の代表曲「I’M GETTING’ BLUE」へ!観客の大合唱とともに、この夜の何度目かとなるクライマックスを迎えることとなった。 そうなると、メンバーが去ってもアンコールの声は大きくなるばかりだ。すぐに 5 人がステージに現われる。 そして、森重がこの曲の背景となった当時の新宿の話から“その曲を今、八王子でやります”と語り「TOKYO CITY NIGHT」 へ。続けざまに最後の最後に「GLORIA」をプレイ!!森重と観客全員の歌声が会場を揺らして、ZIGGY 復帰の第 1 弾ライブは幕を閉じた。そう、今夜は ZIGGY 復帰第 1 弾ライブだったのだ。

終わってみれば、全 29 曲、3 時間弱というヴォリューム、そしてグリッターでハード、そしてメロディアスな ZIGGY のライ ブという面では、いい意味で“復帰第 1 弾”というスペシャル感はなかったかもしれない。 それぐらい自然で、上り坂にいる近年の ZIGGY の姿を見せてくれたように思う。

さて ZIGGY の今後だが、10 月 9 日にはシングル「I STAY FREE FOREVER」をリリース。そして、恒例となっている秋冬の 全国ツアーが行なわれる。そのツアーは全 26 公演と、ZIGGY 再始動後、最大規模のもの。 この夜、加速し続ける自分自身を証明した ZIGGY、その秋冬ツアーにも期待が高まるばかりだ。

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